電源コードなしで持ち運べるイワタニのカセットガスストーブ「マイ暖」に、さらに小さな「マイ暖mini(CB-STV-MIN)」が加わりました。従来モデルより横幅を約30%縮めながら、火力を細かく調整できる無段階方式を採用しています。

ただし、「mini」という名前だけで選ぶのは少し危険です。暖房能力は約0.93kW、暖房の目安は木造2畳・コンクリート3畳で、広いリビングを1台で暖める製品ではありません。また、4つの安全装置があっても、燃焼中は換気が必要です。

この記事では、イワタニの公式仕様をもとに、従来のマイ暖IIIとの違い、カセットボンベ1本あたりの燃焼時間と燃料代、安全に使うための注意点まで調べました。

先に結論

マイ暖miniは、足元やキッチンなど狭い範囲を暖めたい人、コンセントのない場所で使いたい人、停電時の補助暖房を備えたい人には買う価値があります。横幅218mm・約2.3kgで移動しやすく、最大火力でも約3時間40分使えるのが強みです。一方、広い部屋の主暖房、燃料費の安さ、就寝中の連続使用を求める人には向きません。安全装置は事故のリスクを下げる機能であり、換気や火元の管理に代わるものではありません。

マイ暖mini(CB-STV-MIN)とは

マイ暖miniは、岩谷産業が2026年9月18日から順次発売したポータブルカセットガスストーブです。家庭でも入手しやすいイワタニカセットガスを燃料とし、電池、コンセント、灯油の給油を必要としません。

ファンで温風を送り出す方式ではなく、燃焼部からの放射熱で周辺を暖める輻射式です。スイッチを入れて部屋全体を均一に暖めるというより、冷えた足元や自分の周囲へすばやく暖を足す使い方が中心になります。

項目 マイ暖mini
型番CB-STV-MIN
本体サイズ幅218×奥行243×高さ271mm
重量約2.3kg(ボンベを除く)
最大火力約0.93kW(800kcal/h相当)
ガス消費量約67g/h(最大火力時)
連続燃焼時間約3時間40分(最大火力時)
火力調整無段階調整
暖房の目安木造2畳・コンクリート3畳
安全装置不完全燃焼防止、立消え安全、転倒時消火、圧力感知
生産国ベトナム

最大火力時の連続燃焼時間は、気温20〜25℃でカセットボンベ1本を使い切るまでの実測値です。寒さや使用環境によって変わるため、常に3時間40分使えると考えないほうがよいでしょう。

マイ暖miniと従来のマイ暖IIIの違い

比較対象は、従来モデルの「カセットガスストーブ ポータブルタイプ マイ暖III(CB-STV-MYD3)」です。主な違いを表にまとめました。

項目 マイ暖mini
CB-STV-MIN
マイ暖III
CB-STV-MYD3
サイズ218×243×271mm312×222×290mm
重量約2.3kg約2.6kg
最大火力約0.93kW1.0kW
火力調整無段階標準・弱の2段階
最大火力時の燃焼時間約3時間40分約3時間20分
弱火側の燃焼時間約0.3kWなら理論値約10時間弱運転で約3時間55分
暖房の目安木造2畳/コンクリート3畳木造3畳/コンクリート4畳
前面ガード取り外して清掃可能固定式

横幅は94mm短くなった

マイ暖IIIの横幅312mmに対し、マイ暖miniは218mmです。94mm、割合にして約30%短くなりました。奥行は21mm増えていますが、高さは19mm低く、重量も約300g軽くなっています。

棚と家具の隙間に押し込んで使う製品ではありませんが、収納時や部屋間の移動ではこの差が効きます。取っ手も本体と一体感のある形状に変更され、片手で運びやすくなりました。

火力はわずかに下がったが、調整しやすくなった

最大火力は従来機の1.0kWから約0.93kWへ少し下がりました。「暖房能力を維持」というメーカーの説明は、同等クラスの暖かさを狙ったという意味で、数値が完全に同一という意味ではありません。

その代わり、標準・弱の2段階だった火力調整が無段階になりました。寒い朝は強め、室温が上がったら弱めという使い分けがしやすく、狭い場所で熱くなりすぎるのを抑えられます。

最大火力で約20分長く使える

マイ暖miniは最大火力で約3時間40分、マイ暖IIIは標準運転で約3時間20分です。約20分、割合では約10%長く使えます。さらに火力を約0.3kWまで絞った場合、メーカーは連続燃焼時間の理論値を約10時間としています。

約10時間は火力を約0.3kWに絞った場合の理論値です。最大火力で10時間使えるわけではなく、気温や使用環境によっても変わります。

マイ暖miniの燃料代はいくら?

マイ暖miniは電気代がかからない一方、カセットボンベ代が必要です。最大火力で約3時間40分使えるため、1時間あたりの燃料代は「ボンベ1本の価格÷約3.67時間」で概算できます。

ボンベ1本の価格 最大火力1時間の目安 1日3時間×30日の目安
300円約82円約7,360円
400円約109円約9,810円
500円約136円約12,260円

計算は最大火力で連続使用できる約3時間40分を基準にした概算です。実際のボンベ価格、火力、気温、点火と消火の回数によって変わります。

燃料費だけを見ると、マイ暖miniは日常の主暖房として格安とはいえません。カセットガスの価値は、コンセントがなくてもすぐ暖を取れること、燃料を保管・交換しやすいこと、停電中にも使えることにあります。電気暖房とのランニングコストを詳しく比べたい場合は、セラミックファンヒーターとエアコン・電気ストーブ・電気毛布の電気代比較も参考にしてください。

マイ暖miniはどこまで暖かい?

暖房の目安は木造2畳、コンクリート3畳です。数字から考えると、6畳や8畳の部屋全体を1台で十分に暖める用途には力不足です。断熱性能が低い部屋や、ドアの開閉が多い場所では、さらに暖まりにくくなります。

向いているのは、デスクの足元、キッチン、洗面所など、短時間だけ人のいる狭い場所です。エアコンで部屋が暖まるまでの補助として使う方法も考えられます。

脱衣所用として検討する場合は、置き場所と可燃物との距離を確保できるかが重要です。衣類、タオル、バスマットが近くなりやすく、浴室内のように水がかかる場所へ持ち込むものでもありません。脱衣所へ常設しやすい電気式も含めて選ぶなら、脱衣所用ヒーターのセラミック・壁掛け・パネル式比較も確認してみてください。

安全性は?4つの安全装置を搭載

マイ暖miniには、燃焼器具としての異常を検知・対処する4つの安全装置があります。

  • 不完全燃焼防止装置:室内の酸素濃度が低下した際、不完全燃焼が起こる前にガスを遮断して消火する
  • 立消え安全装置:風などで火が消えた際、ガスを遮断して漏れを防ぐ
  • 転倒時消火装置:本体の転倒や強い衝撃を検知するとガスを遮断して消火する
  • 圧力感知安全装置:ボンベが過熱して内部圧力が異常に上がった際、ボンベを外してガスを止める

これらは有用な機能ですが、「装置があるから閉め切った部屋で使ってよい」という意味ではありません。不完全燃焼では一酸化炭素が発生するおそれがあり、一酸化炭素は無色・無臭なので、人の感覚だけでは気づきにくい物質です。

使用前に必ずCB-STV-MINの取扱説明書を確認し、指定された頻度と方法で換気してください。就寝中、外出中、車内、テント内など、異常に気づけない場所・状況で使用しないことが大切です。

使用時に特に確認したいこと

  • 窓を閉め切ったまま長時間使わず、取扱説明書に従って換気する
  • カーテン、衣類、寝具、紙類などの可燃物を近づけない
  • 本体上部や前面に洗濯物を掛けない
  • 水平で安定した床へ置き、子どもやペットが触れないようにする
  • 就寝時や外出時は必ず消火し、火が消えたことを確認する
  • ボンベは高温になる場所や直射日光を避けて保管する

壁際や窓辺は冷気を感じやすい場所ですが、カーテンのすぐ近くへ燃焼器具を置くのは避ける必要があります。火を使わず窓からの冷気を減らしたい場合は、断熱シート・隙間テープ・厚手カーテンによる窓の寒さ対策も選択肢になります。

マイ暖miniのメリット

コンセントがなくても使える

最大の強みは、電源の位置に縛られないことです。延長コードを引き回す必要がなく、停電中でもカセットボンベがあれば使用できます。調理用のカセットこんろと燃料を共有しやすいのも、防災用品として管理しやすい点です。

幅218mm・約2.3kgで移動しやすい

従来モデルより幅が短く、約300g軽量です。朝はキッチン、日中は作業机の近くというように、必要な場所へ持ち運びやすくなっています。移動させるときは必ず消火し、本体が十分に冷えてから扱いましょう。

無段階で火力を調整できる

従来機の2段階より、室温や距離に合わせて暖かさを調整しやすくなりました。最大火力が必要ない場面では、燃料消費を抑えながら使えます。

前面ガードを外して掃除できる

新構造の前面ガードは、持ち上げて手前へ引くことで取り外せます。内部へたまったホコリを掃除しやすく、シーズン中の手入れが従来機より簡単になりました。清掃は消火後、本体が冷えてから取扱説明書に従って行います。

マイ暖miniのデメリットと注意点

広い部屋の主暖房には向かない

木造2畳・コンクリート3畳という目安からも、基本はスポット暖房です。リビング全体を長時間暖めるなら、エアコンなどの主暖房を中心に考えたほうが現実的です。

日常的な長時間使用では燃料代がかさむ

ボンベ1本400円なら、最大火力で1時間あたり約109円が目安です。短時間の補助暖房なら便利ですが、毎日何時間も使えば月の燃料代は大きくなります。「電気を使わない」と「維持費が安い」は別の話です。

換気と火元の管理が必要

電気ヒーターと違い、室内で燃料を燃やします。定期的な換気に加え、可燃物との距離、転倒、やけど、ボンベの保管状態まで気を配る必要があります。手軽に持ち運べても、置き場所を自由に選べるわけではありません。

ボンベを別に用意する必要がある

本体だけでは使用できません。購入直後や災害時に困らないよう、対応するイワタニカセットガスを用意し、使用期限や保管場所も定期的に確認する必要があります。

マイ暖miniが向いている人・いらない人

買う価値がある人

  • 足元やキッチンなど、狭い範囲を短時間暖めたい人
  • コンセントのない場所で使える補助暖房がほしい人
  • 停電時にも使える暖房器具を備えたい人
  • 従来のマイ暖では横幅が大きいと感じていた人
  • 火力を細かく調整したい人

ほかの暖房を選んだほうがよい人

  • 6畳以上の部屋全体を1台で暖めたい人
  • 毎日長時間使い、ランニングコストを抑えたい人
  • 換気や燃料の交換を負担に感じる人
  • 就寝中も使える暖房を探している人
  • 小さな子どもやペットから安全な距離を確保できない人

結局のところ、マイ暖miniの価値は「最も安く部屋を暖めること」ではなく、「電源がなくても、必要な場所へ暖かさを持っていけること」にあります。この条件が生活や防災の備えに合うなら、従来モデルより扱いやすい選択肢です。

よくある質問

マイ暖miniだけで6畳の部屋を暖められますか?

公式の暖房目安は木造2畳・コンクリート3畳です。6畳では自分の周囲を暖める補助暖房としては使えますが、部屋全体の主暖房としては能力不足になりやすいでしょう。

カセットボンベ1本で何時間使えますか?

最大火力では約3時間40分です。火力を約0.3kWまで絞った場合は理論値で約10時間とされていますが、気温や使用環境によって変わります。

停電中でも使用できますか?

電池やコンセントを使用しないため、対応するカセットボンベがあれば停電中でも使用できます。ただし、平常時と同じく換気、可燃物との距離、消火確認が必要です。

安全装置があれば換気しなくても大丈夫ですか?

換気は必要です。安全装置は異常時のリスクを下げるためのもので、換気や正しい使用方法の代わりにはなりません。使用前に取扱説明書を確認してください。

まとめ

イワタニ「マイ暖mini(CB-STV-MIN)」は、従来のマイ暖IIIより横幅を約30%小さくし、約2.3kgへ軽量化したカセットガスストーブです。火力を無段階で調整でき、最大火力でも約3時間40分使えるため、足元やキッチン、停電時の補助暖房として扱いやすくなっています。

その反面、暖房の目安は木造2畳・コンクリート3畳で、広い部屋の主暖房には向きません。燃料代も電気暖房より必ず安いわけではなく、換気と火元の管理も欠かせません。

「安い暖房器具」としてではなく、「電源なしで必要な場所を暖められる、小型の補助・防災用暖房」として選ぶのが正解です。その用途がはっきりしている人なら、従来モデルより小さく調整しやすいマイ暖miniには十分な購入価値があります。

参考資料・公式情報