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リフティングシューズは、見た目だけなら少し硬そうなスニーカーです。それなら自宅やジムでのトレーニングだけでなく、普段履きにも使えるのではないか。ジムまで履いて行けば、荷物を一足減らせると考える人もいるでしょう。
私はadidas Powerlift 5を購入し、100kgを超えるスクワットや、最大約120kgのベンチプレスで使っています。履いて歩くこと自体はできますし、着脱も普通の靴と大きく変わりません。しかし、実際に使った結論は「普段履きには向かない」です。
理由は単純に重いからではなく、靴底の硬さ、かかとの高さ、足を固定するための圧迫感が、歩く用途と噛み合いにくいからです。本記事では、Powerlift 5を履いて感じた歩きにくさと、どこまでなら履いたまま使えるのかを正直に紹介します。
先に結論:リフティングシューズで短い距離を歩くことはできますが、通勤、買い物、散歩などの普段履きにはおすすめしません。トレーニング場所まで長く歩くなら、普段の靴で移動して現地で履き替えるほうが快適です。
リフティングシューズは普段履きできる?
「履けるか」と聞かれれば、履けます。Powerlift 5にもラバーアウトソールがあり、靴ひもを結んで普通に立ったり歩いたりできます。リフティングシューズを履いた瞬間、歩行そのものが不可能になるわけではありません。
ただし、「日常用の靴として快適か」は別の話です。一般的なスニーカーは、歩くときに足の動きへ合わせて曲がり、着地の衝撃を受け止めることを考えて作られています。一方、リフティングシューズは、バーベルを持ったときに足元が変形しにくいことを重視しています。
Powerlift 5についても、adidas公式はストラップと靴ひもで中足部を固定し、ミッドソールのウェッジによって高重量下での安定性を高める設計だと説明しています。スクワットでは長所になる部分が、長く歩く場面では窮屈さや動きにくさとして表れます。
Powerlift 5を実際に履いた用途別の印象
| 用途 | 実際の印象 | 向き・不向き |
|---|---|---|
| スクワット | 硬い靴底で足元が安定する | 向いている |
| ベンチプレス | 足の踏ん張りが利きやすい | 向いている |
| セット間の移動 | 短い距離なら問題ない | 支障はない |
| スピンバイク | 硬い靴底でペダルを押しやすい | 意外に使いやすい |
| 長時間の歩行 | 靴底が曲がりにくく圧迫感もある | 向いていない |
| 普段履き | 快適性より固定感が強い | おすすめしない |
これはPowerlift 5を約10回使用した時点での個人的な評価です。屋外で長距離を歩き込んだ比較ではなく、ホームジム内で履き、トレーニング前後に移動した範囲で判断しています。
歩きにくいと感じる4つの理由
1.靴底が硬く、歩行に合わせて曲がりにくい
Powerlift 5を履いて最初に分かるのは、ソールの硬さです。スクワットでは、この硬さによって床を押したときに足元が沈みにくくなります。私が100kgを超えるスクワットで感じる「ガチッとした安定感」の中心にある部分です。
ところが歩行では、かかとから着地し、足裏へ体重を移し、つま先で地面を押す動きが続きます。靴底が柔らかければ足の動きについてきますが、Powerlift 5ではソールの硬さをはっきり感じます。
数歩の移動なら困りません。しかし、長時間歩くための靴と比べると、足運びが自然ではありません。リフティングシューズの長所をそのまま残しながら、ウォーキングシューズのようなしなやかさを求めるのは難しいと感じました。
2.かかとが高く、平らな靴とは立ち方が違う
Powerlift 5の公式仕様では、スタックハイトが34mm、ヒールリフトが15mmです。実際に履いた感覚では、かかとが極端に高いとは感じません。それでも、裸足や前後差の少ない靴とは足元の角度が異なります。
スクワットでは、この高さがしゃがむ姿勢を作る助けになる場合があります。一方、街を歩くために必要な機能ではありません。普段履きとして何時間も使うなら、トレーニングのために設けられた高さを常に受け入れることになります。
3.足を固定する圧迫感がある
私が購入したサイズは28cmで、普段の靴も28cmです。長さは普段と同じサイズで問題ありませんでしたが、足全体を包む圧迫感は強めです。痛いわけではないものの、ゆったりしたスニーカーとは明らかに違います。
さらに甲のストラップを締めると、固定感と同時に圧迫感も増します。重いバーベルを扱うときには頼もしい一方、買い物や散歩で長く履き続けたい感覚ではありません。
厚手の靴下では、同じ28cmでもかなりきつくなりそうです。冬の普段履きとして考えている人や、幅広の足でゆとりを求める人は特に注意が必要です。
4.普段履きの快適性より、重量を支える設計が優先されている
Powerlift 5には通気性を考えたメッシュ部分もありますが、製品の中心的な役割はウエイトトレーニングの土台を作ることです。公式説明でも、ミッドソールのウェッジによる安定性や、マットを捉えるラバーアウトソールが特徴として挙げられています。
一足の靴に、スクワットで変形しにくい硬さと、長時間歩いても気になりにくい柔らかさを同時に求めるのは簡単ではありません。歩きにくく感じるのは、製品が失敗しているからではなく、目的が違うためです。
着脱は普通の靴と大きく変わらない
固定感が強いと聞くと、履いたり脱いだりするのも大変そうに見えます。しかし、Powerlift 5の着脱は普通の靴と大きく変わりません。ストラップを外して靴ひもを緩めれば、無理なく足を入れられます。
SBDのニースリーブのように、装着だけで体力を使うトレーニング用品ではありません。ジムへ持って行き、トレーニング前に履き替える運用も現実的です。
「履き替えるのが面倒だから普段履きにしたい」と考えているなら、一度の着脱で節約できる手間はそれほど大きくないと思います。快適な移動用シューズと、安定性を重視したリフティングシューズを分けるほうが、それぞれの長所を活かせます。
普段履きにするメリットもゼロではない
ここまで歩きにくさを中心に書きましたが、最初から履いて出かける利点もあります。ジムで履き替える時間がいらず、シューズを入れる荷物も減らせます。車移動が中心で歩く距離が短い人なら、不便を感じる前にトレーニングを始められるかもしれません。
黒いPowerlift 5は見た目も落ち着いており、服装によっては普通のスニーカーに近く見えます。「リフティングシューズらしい派手な配色が苦手」という人でも、外へ履いて出やすいデザインです。
それでも私が普段履きにしないのは、見た目ではなく履き心地を基準にしているからです。数分の便利さと、移動中ずっと続く硬さや圧迫感を比べると、別の靴を持って行くほうを選びます。車でジムへ行き、ほとんど歩かない人なら結論が変わる余地はあります。
ジムまで履いて行くのはあり?
自宅から車で移動し、駐車場からジムまで少し歩く程度なら、Powerlift 5を履いたままでも大きな問題は感じにくいでしょう。ただし、私はホームジムで使用しており、Powerlift 5を履いて通勤や長距離移動をしたわけではありません。
徒歩や電車でジムへ行く人は、移動用の靴を別に用意するほうが無難です。屋外を歩いた靴をそのままジムエリアで使えない施設もあるため、利用先のルールも確認する必要があります。
また、雨の日に濡れたアウトソールや、屋外で付着した砂をトレーニングスペースへ持ち込むと、足元の状態が変わります。リフティングシューズを室内専用にしておけば、スクワットのたびに同じ状態で使いやすくなります。
持ち運びはシューズ袋に分けると扱いやすい
移動用とトレーニング用を分ける場合、リフティングシューズをそのままバッグへ入れると、ウェアやタオルにアウトソールが触れます。簡単なシューズ袋へ分けておけば、荷物の中が汚れにくくなります。
高価な専用品でなくても、左右のシューズが入る巾着型やファスナー型で十分です。使用後は湿気がこもったままにならないよう、帰宅後に袋から出しておくほうが扱いやすいでしょう。
リフティングシューズを持ち歩く手間は増えますが、毎回履き替える行為がトレーニング開始の合図にもなります。私の場合、黒いPowerlift 5を履いてストラップを締めると、本格的な筋トレ道具を使っている感覚があり、モチベーションの切り替えにもなっています。
普段履きすると、もったいない面もある
私がPowerlift 5を購入した価格は12,800円でした。普段履きとして使えば使用時間は増えますが、トレーニングに必要のない場面でもアウトソールが汚れ、表面が擦れていきます。
まだ約10回の使用なので、耐久性や寿命について断定はできません。ただ、スクワットの安定性を求めて買った道具を、歩行で先に消耗させる必要はないと考えています。
黒一色の見た目は気に入っていますし、筋トレ動画に出てくるような雰囲気があってモチベーションも上がります。それでも、見た目が普段着に合わせられることと、日常用の靴として適していることは別です。
スピンバイクでは意外に使いやすかった
歩く用途には向かない一方、Powerlift 5はスピンバイクで意外に使いやすいと感じました。硬い靴底がペダルの上で大きく曲がらず、力を伝えやすいためです。
本格的なサイクリングシューズと比較した評価ではありませんが、筋トレ後にそのままスピンバイクへ移る使い方なら、履き替えずに運動を続けられます。歩行には不向きでも、硬さを活かせる別の運動はあるということです。
反対に、ランニングマシンで走る用途には選びません。歩行以上に足裏の動きや着地が繰り返されるため、私ならランニング用のシューズへ履き替えます。
一足で筋トレも移動も済ませたい場合はどうする?
荷物を増やしたくない人は、リフティングシューズではなく、底が比較的平らで硬さのあるトレーニングシューズも候補になります。専用シューズほどスクワットへ特化していない代わりに、ジム内の移動や複数種目へ対応しやすい製品があります。
ただし、どの靴が合うかは、スクワットで求める安定性と移動の多さによって変わります。スクワットを優先するなら専用のリフティングシューズ、利便性を優先するなら汎用的なトレーニングシューズという考え方が分かりやすいでしょう。
私はホームジムで長距離を移動する必要がなく、100kgを超えるスクワットの安定感を優先したため、Powerlift 5を選びました。目的が違えば、同じ選択が最適とは限りません。
Powerlift 5を普段履きにしないほうがよい人
- 通勤や通学で長い距離を歩く人
- 買い物や散歩でも同じ靴を使いたい人
- 柔らかく、ゆったりした履き心地を好む人
- 厚手の靴下を履くことが多い人
- 一足でランニングまで行いたい人
履いたままでも困りにくい範囲
- ホームジム内での短い移動
- ラックからベンチまでの移動
- スクワットとベンチプレスの間
- 筋トレ後にスピンバイクを行うとき
- 車からトレーニング場所までのごく短い移動
この範囲なら、私が感じる歩きにくさは大きな問題にはなりません。Powerlift 5は一歩も歩けない靴ではなく、歩く時間が長くなるほど用途の違いが目立ってくる靴です。
スクワットやベンチプレス、サイズ感を含む詳しいレビューは、adidas Powerlift 5を実際に使ったレビューで紹介しています。また、裸足から履き替えた変化は、スクワットは裸足とリフティングシューズどっち?にまとめました。
まとめ:歩けるが、歩くために選ぶ靴ではない
リフティングシューズは普段履きできるのか。Powerlift 5を実際に使った私の答えは、「歩くことはできるが、普段履きには向かない」です。
硬いソール、15mmのヒールリフト、靴ひもとストラップによる固定感は、スクワットでは大きな長所です。裸足で感じていた身体が前へ行きそうな感覚がなくなり、足元がガチッと安定しました。
一方、長く歩く場面では、同じ硬さと固定感が動きにくさや圧迫感につながります。着脱は普通なので、移動用の靴から履き替える負担も大きくありません。
トレーニングの道具としては気に入っており、同じ12,800円でももう一度買うと思います。だからこそ、普段履きで何でも済ませるのではなく、スクワットやベンチプレスで長所を活かしながら使い倒していきたいと考えています。
