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刑務所を題材にした映画やドキュメンタリーでは、腕立て伏せや懸垂を繰り返し、筋肉質な体を作っている受刑者が登場することがあります。
トレーニングジムも高価なマシンもなく、自由にプロテインを買えるとは限らない環境で、なぜ筋肉をつけられるのでしょうか。
私自身は、ホームジムでバーベルを中心に7年以上トレーニングしています。最近ではSBDのリストラップやリフティングシューズなど、トレーニングギアにもこだわるようになりました。
それでも、筋肉を作る根本は高価な道具ではなく、筋肉に負荷をかけ、少しずつ強度を高めながら継続することだと感じています。
刑務所で筋肉を鍛える人の姿には、限られた環境のなかでも自分の身体を変え、いつか外へ出ようとする意志が表れているのではないか。私はそう考えています。
ただし、意志の強さだけで筋肉が大きくなるわけではありません。また、刑務所へ入れば誰でも筋肉質になるわけでもありません。
この記事では、プリズナートレーニングの考え方を手がかりに、次の疑問を研究と私自身のトレーニング経験から考えます。
- プロテインなしでも筋肉はつくのか
- 自重トレーニングだけで筋肥大できるのか
- 腕立て伏せやスクワットでも負荷を上げ続けられるのか
- プリズナートレーニングは科学的にどこまで妥当なのか
- 自重トレーニングにはどのような限界があるのか
※私は刑務所での生活やトレーニングを経験したわけではありません。本記事は、公開されている研究、本の内容、ホームジムで7年以上筋トレを続けてきた経験をもとに考察したものです。
※本記事は2026年8月23日時点で確認できた情報をもとに作成しています。
結論|刑務所だからではなく、負荷を継続できれば筋肉はつく
最初に結論をまとめると、刑務所という場所自体に筋肉を大きくする特殊な効果があるわけではありません。
筋肉がつく理由として考えられるのは、主に次の要素です。
- 腕立て伏せや懸垂などでも筋肉に十分な負荷をかけられる
- 回数や難易度を段階的に高められる
- 同じ運動を長期間繰り返しやすい
- 運動が毎日の習慣や気分転換になる
- 食事から一定量のエネルギーとタンパク質を摂取している
- トレーニング以外の時間に身体を休ませられる場合がある
筋肉を直接成長させるのは、精神論ではありません。
筋肉への刺激、栄養、休養が必要です。
しかし、必要な負荷を数週間で終わらせず、何カ月、何年と積み重ねるためには、習慣や意志が関係します。
つまり、意志の強さが筋肉を直接肥大させるのではなく、負荷を継続する行動を通して、間接的に筋肥大へつながると考えるのが自然です。
「刑務所に入ると筋肉がつく」は全員に当てはまらない
最初に注意したいのは、「受刑者はみんな筋肉質」というイメージです。
私たちが映画、漫画、SNSなどで目にするのは、目立つほど身体を鍛えた一部の人である可能性があります。運動をしていない人や、健康状態が悪化した人は、同じようには注目されません。
刑務所での生活には、運動不足、体重増加、心血管リスク、精神的なストレスなどの健康問題が生じる場合もあると報告されています。
そのため、刑務所という環境にいるだけで、自然に健康的で筋肉質な身体になるとはいえません。
一方、刑務所内で実施された運動プログラムを調べたシステマティックレビューでは、対象となった11件の研究のうち10件で、身体または精神面に有意な変化が報告されました。
ここからいえるのは、刑務所が筋肉を作るのではなく、刑務所の中でも適切な運動を続ければ身体を変えられるということです。
プリズナートレーニングとは?
一般に「プリズナートレーニング」とは、器具がほとんどない環境でも行える自重トレーニングを指します。
日本では、ポール・ウェイド著『プリズナートレーニング 圧倒的な強さを手に入れる究極の自重筋トレ』によって広く知られるようになりました。
日本語版は2017年にCCCメディアハウスから出版されています。
本書では、主に次の6系統の運動を段階的に難しくしていく方法が紹介されています。
| 種目 | 主に鍛えられる部分 |
|---|---|
| プッシュアップ | 胸、肩、上腕三頭筋 |
| スクワット | 太もも、臀部 |
| プルアップ | 背中、上腕二頭筋 |
| レッグレイズ | 腹部、股関節周辺 |
| ブリッジ | 背面、臀部、脊柱周辺 |
| ハンドスタンド・プッシュアップ | 肩、上腕三頭筋 |
いきなり片腕腕立て伏せなどに挑戦するのではなく、簡単な動作から始め、フォームを身につけながら難しい動作へ進むのが基本的な考え方です。
これは、筋トレで重要とされる漸進性過負荷に近い発想です。
なお、著者の刑務所経験などは本書や出版社による紹介に基づくものです。また、「プリズナートレーニング」というプログラム全体を、そのまま検証した臨床研究が豊富に存在するわけではありません。
本の物語をすべて科学的事実として受け取るのではなく、紹介されているトレーニング原則が研究と合っているかを分けて考える必要があります。
プリズナートレーニングを楽天市場で確認する自重トレーニングだけでも筋肥大できる
自重トレーニングでも、筋肉にとって十分に強い刺激を与えられれば筋肥大は期待できます。
2018年に発表された研究では、負荷を同程度に調整した腕立て伏せと低負荷ベンチプレスを8週間実施したところ、筋肉の厚さと筋力の変化に同程度の効果が確認されました。
別の研究でも、難易度を段階的に高める腕立て伏せは、ベンチプレスと同様に上半身の筋力向上へ利用できる可能性が示されています。
つまり、「バーベルを使わなければ筋肉がつかない」というわけではありません。
筋肉から見れば、負荷の正体が鉄のプレートなのか、自分の体重なのかよりも、次の条件が重要です。
- 対象の筋肉に十分な張力がかかっている
- 楽に何十回もできる運動で終わっていない
- 回数、セット数、難易度などが徐々に上がっている
- 動作範囲を確保している
- 長期間継続している
- 食事と休養が不足していない
ただし、腕立て伏せを適当に毎日繰り返すだけで、無制限に筋肉が大きくなるわけではありません。
身体が運動に慣れた後も成長を続けるには、何らかの方法で負荷を高める必要があります。
軽い負荷でも筋肉は大きくなるのか
自重トレーニングは、バーベルと比べて負荷が軽くなりやすい種目もあります。
しかし、低負荷と高負荷の筋トレを比較したメタ分析では、筋肥大については広い負荷範囲で同程度の効果を得られる可能性が示されています。
一方、1回だけ持ち上げられる最大重量、いわゆる1RMの向上については、高負荷トレーニングのほうが有利でした。
目的別に整理すると、次のようになります。
| 目的 | 自重トレーニングの適性 |
|---|---|
| 筋肉を大きくする | 十分に可能 |
| 筋持久力を高める | 得意 |
| 自分の身体を操作する力を高める | 得意 |
| 場所を選ばず運動する | 得意 |
| 1RMを伸ばす | バーベルが有利 |
| 負荷を細かく数値管理する | バーベルが有利 |
| 脚や背中へ高負荷をかける | 工夫または器具が必要 |
自重トレーニングが低負荷だから効かないのではありません。
軽い運動を、余裕がたくさん残った状態で終えると刺激が不足しやすいというのが問題です。
腕立て伏せやスクワットで負荷を上げる方法
バーベルならプレートを2.5kg増やすだけで、負荷を分かりやすく高められます。
自重トレーニングでは、重りの代わりに動作条件を変えます。
回数を増やす
最も簡単な方法は、同じフォームで行える回数を増やすことです。
例えば、腕立て伏せを8回しかできなかった人が15回できるようになれば、筋力や筋持久力が向上したと考えられます。
ただし、何十回も余裕でできるようになった場合は、回数だけを増やし続けるより、難しい種目へ移行したほうが負荷を高めやすくなります。
セット数を増やす
1セットから2セット、2セットから3セットへ増やせば、筋肉が受ける総負荷を高められます。
筋肥大には、1回の限界だけでなく、1週間にどのくらいのトレーニング量を確保したかも関係します。
ただし、セット数を急に増やすと関節の痛みや疲労につながるため、少しずつ増やしましょう。
動作範囲を広げる
浅い腕立て伏せやスクワットよりも、無理のない範囲で深く動作したほうが、筋肉を大きく伸ばせる場合があります。
ただし、深ければ深いほど必ずよいわけではありません。関節の状態や柔軟性に合わせ、安全に制御できる範囲で行うことが大切です。
ゆっくり下ろす
身体を下ろす動作を2~4秒程度かけて行うと、勢いを使いにくくなり、筋肉へ力がかかる時間を長くできます。
ただし、極端にゆっくり動けば筋肥大が何倍にもなるわけではありません。
フォームを崩さず、反動を抑えるための方法として利用するのが現実的です。
ボトムポジションで停止する
腕立て伏せで胸を下げた位置や、スクワットでしゃがんだ位置で一度停止すると、反動を使いにくくなります。
同じ回数でも難易度を上げられる方法です。
片腕・片脚に近づける
両腕で行っていた運動を片腕に近づけたり、両脚のスクワットからブルガリアンスクワットや片脚スクワットへ進んだりすると、片側にかかる負荷が増えます。
例えば、腕立て伏せなら次のように段階を作れます。
- 壁に手をついた腕立て伏せ
- 台に手をついた腕立て伏せ
- 膝つき腕立て伏せ
- 通常の腕立て伏せ
- 足を高くした腕立て伏せ
- 左右どちらかへ重心を移す腕立て伏せ
- 片腕腕立て伏せに近いバリエーション
種目を難しくすることは、バーベルのプレートを増やすことに近い役割を持ちます。
リュックやバンドを利用する
完全な自重トレーニングではなくなりますが、リュックに重りを入れたり、トレーニングバンドを利用したりする方法もあります。
自重だけで負荷を調整しにくくなった段階で、無理に高度な技へ進む必要はありません。
安全に負荷を増やせるなら、簡単な器具を取り入れるのも合理的です。
毎回限界まで追い込む必要はない
自重トレーニングでは「100回できるまでやる」「動けなくなるまで続ける」といった極端な方法が注目されがちです。
しかし、毎セット完全に動けなくなるまで追い込む必要はありません。
限界の1~3回手前でも、筋肉へ十分な刺激を与えられる可能性があります。
特に、毎セット限界まで行うと次の問題が起こりやすくなります。
- フォームが崩れる
- 肘、肩、膝などへ負担が集中する
- 次のセットの回数が大きく落ちる
- 疲労が残りやすい
- トレーニングを続けること自体がつらくなる
ただし、負荷が非常に軽く、何十回もできる種目では、限界から遠すぎる位置で終えると刺激が不足しやすくなります。
大切なのは苦痛の大きさではなく、対象の筋肉が十分に働いているか、前回より少しでも進歩しているかです。
プロテインなしでも筋肉はつくのか
プロテインパウダーを飲まなくても筋肉はつきます。
なぜなら、プロテインは筋肉増強剤ではなく、牛乳や大豆などから作られたタンパク質を補給するための食品だからです。
肉、魚、卵、乳製品、大豆食品などから必要なタンパク質を摂取できていれば、プロテインパウダーは必須ではありません。
一方、タンパク質そのものが不要なわけではありません。
筋トレとタンパク質補給に関するメタ分析では、筋力トレーニング中のタンパク質摂取量を増やすことが、筋力や除脂肪量の増加を後押しする可能性が示されています。
一般的には、筋トレを行う人の目安として、1日あたり体重1kgにつき約1.4~2.0gのタンパク質が示されることがあります。
ただし、体重が非常に重い人が現在の体重へ単純に掛けると、必要以上に多い数字になる場合があります。目標体重や除脂肪体重を参考にしたほうがよいケースもあるため、持病がある人を含め、不安があれば医師や管理栄養士へ相談してください。
重要なのは次の区別です。
- プロテインパウダー:必須ではない
- 食事を含むタンパク質:筋肉を作るために必要
- 十分なエネルギー:筋肥大を支える
- ビタミンやミネラルを含む食事全体:健康維持に必要
刑務所でプロテインを飲んでいない人に筋肉があったとしても、「タンパク質なしで筋肉がついた」という意味にはなりません。
日々の食事にもタンパク質は含まれています。
プロテインの種類について詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。
ソイプロテインとホエイプロテインはどっちがいい?筋肉・価格・吸収速度の違いを比較
意志の強さは筋肥大に関係するのか
筋肉は、強く願うだけでは大きくなりません。
しかし、トレーニングを続ける意志は、筋肥大へ至るまでの過程に大きく関わります。
刑務所では、自由に使えるものや時間の過ごし方が制限されます。そのなかで、自分の身体は数少ない「自分の行動によって変えられるもの」になる場合があります。
腕立て伏せを昨日より1回増やす。
懸垂のフォームを少し安定させる。
片脚スクワットへ一歩近づく。
身体の変化は小さくても、努力と結果の関係が比較的分かりやすいものです。トレーニングが生活の区切り、気分転換、自信を保つ方法になる可能性もあります。
刑務所内の運動に関する研究でも、運動プログラムは体力だけでなく、精神面の改善に役立つ可能性が報告されています。
もちろん、これはすべての受刑者が同じ目的で鍛えているという意味ではありません。
それでも私は、罪を犯して刑務所に入った後も、筋トレを続け、身体を作って外へ出ようとする人の姿には、強い意志が表れていると思います。
意志が筋肉を直接作るのではありません。
しかし、その意志が今日の腕立て伏せを生み、今日の腕立て伏せが積み重なって身体を変えていく。
そう考えれば、意志と筋肥大は無関係ではないはずです。
プリズナートレーニングは科学的に妥当なのか
プリズナートレーニングの考え方には、現在のトレーニング科学と一致する部分があります。
一方、本に書かれた主張をすべて科学的事実として受け取る必要はありません。
妥当と考えられる部分
| 考え方 | 科学との整合性 |
|---|---|
| 簡単な種目から始める | 妥当 |
| 難易度を段階的に上げる | 漸進性過負荷として妥当 |
| 自重でも筋力を鍛えられる | 研究で支持されている |
| 特別なジムがなくても鍛えられる | 妥当 |
| フォームを身につけてから進む | 安全面でも重要 |
| 継続を重視する | 長期的な成長に必要 |
そのまま受け取らないほうがよい部分
- プログラム全体が他の方法より優れているとは証明されていない
- 自重トレーニングがウエイトトレーニングより常に安全とは限らない
- プロテインパウダーが不要でも、タンパク質まで不要になるわけではない
- 誰もが同じ順番で高度な技を習得できるとは限らない
- 片腕腕立て伏せや片脚スクワットが全員に必要なわけではない
- 本で紹介される著者の物語と、運動科学上の根拠は分けて考える必要がある
プリズナートレーニングの最大の価値は、特定の種目を絶対視することではなく、現在できる運動から始め、少しずつ難しくしていく道筋を示したことにあると私は考えます。
自重トレーニングの限界
自重トレーニングは優れた方法ですが、万能ではありません。
特に、トレーニング経験が長くなるほど、次の課題が出てきます。
負荷を数値で管理しにくい
バーベルなら「前回は80kgで8回、今回は82.5kgで8回」と記録できます。
自重では、身体の角度、手幅、テンポ、フォームなどによって負荷が変わります。同じ10回でも、毎回まったく同じ強度とは限りません。
脚へ高負荷をかけにくい
通常のスクワットは、初心者には十分きつい運動です。
しかし、筋力がつくと何十回もできるようになり、筋持久力の要素が強くなります。
片脚種目へ進む方法はありますが、筋力より先にバランスや柔軟性が限界になることもあります。
脚の筋力と筋量をさらに伸ばしたい場合は、バーベルスクワット、ダンベル、ウエイトベストなどが便利です。
背中の種目には場所や器具が必要
腕立て伏せやスクワットは床があればできますが、背中を鍛える懸垂には安全なバーが必要です。
引く動作が不足すると、胸や肩の運動に偏る可能性があります。
高度な種目ほど関節への負担も増える
片腕腕立て伏せ、片脚スクワット、倒立腕立て伏せなどは強い負荷を作れます。
しかし、筋力だけでなく、手首、肘、肩、膝の状態やバランス能力も求められます。
「自重だからけがをしない」とは限りません。
バーベルと自重は対立するものではない
私はホームジムで7年以上、バーベルを中心にトレーニングしてきました。
ベンチプレスやスクワットでは、重量を細かく記録しながら負荷を高められます。ラックやセーフティーバー、リストラップ、リフティングシューズなどのギアにも、それぞれ意味があります。
特に最大筋力を伸ばしたい場合や、脚や背中へ大きな負荷をかけたい場合は、バーベルが便利です。
それでも、バーベルと自重トレーニングの根本は変わりません。
- 現在の能力に合った種目を選ぶ
- 正しいフォームで行う
- 前回より少しだけ負荷を高める
- 記録を残す
- 疲労が強ければ休む
- 食事と睡眠を確保する
- 数週間ではなく長期間続ける
自重トレーニングとウエイトトレーニングは、どちらか一方が本物で、もう一方が偽物という関係ではありません。
目的と環境に応じて使い分ければよいものです。
7年以上筋トレを続けて感じたこと
私自身、ホームジムでバーベルを中心に7年以上トレーニングしています。
最近ではSBDのリストラップやリフティングシューズ、パワーグリップなど、トレーニングギアにもこだわるようになりました。
よい道具は、身体を支えたり、トレーニングを快適にしたり、負荷を管理しやすくしたりしてくれます。
しかし、道具を買っただけで筋肉がつくわけではありません。
高価なリストラップを巻いても、バーベルを持たなければ身体は変わりません。立派なホームジムを作っても、トレーニングを続けなければ器具は置物になります。
反対に、高価な道具がなくても、腕立て伏せを前回より1回増やし、少しずつ難しい種目へ進めば身体は変わります。
筋肉を作る根本は、特別な環境ではありません。
負荷をかけ、それに適応したら、もう少しだけ負荷を高める。その繰り返しをやめないことです。
ただし、毎日無理をする必要はありません。
私は若いころ、疲れ果てているのに義務感だけで筋トレを続け、ふらふらになった経験があります。現在は筋肉痛が強い日や、どうしてもやる気が出ない日は休むようにしています。
休むのも筋トレの一部です。
継続とは、一日も休まないことではありません。休みながらでも、完全に投げ出さず戻ってくることだと思います。
筋トレを休む基準については、以下の記事で詳しく解説しています。
筋トレは毎日しないほうがいい?7年間続けて分かった休む日の決め方
プリズナートレーニングが向いている人
プリズナートレーニングの考え方は、次のような人と相性がよいでしょう。
- ジムへ通うお金を抑えたい人
- 自宅で静かにトレーニングしたい人
- 大きな器具を置く場所がない人
- 腕立て伏せやスクワットを段階的に強くしたい人
- 自分の身体を操作する力を身につけたい人
- トレーニングの進め方を本で体系的に学びたい人
- 派手な器具より継続を重視したい人
反対に、次のような人はバーベルやダンベルも検討したほうがよいでしょう。
- ベンチプレスなどの1RMを伸ばしたい人
- 脚や背中へ高負荷をかけたい人
- 2.5kg単位で負荷を管理したい人
- 特定の筋肉を細かく鍛え分けたい人
- 片腕や片脚の高度な種目が関節に合わない人
本を読んだからといって、掲載されている最終段階をすべて達成する必要はありません。
自分の目的と身体に合う部分を取り入れることが大切です。
よくある質問
刑務所に入ると誰でも筋肉がつきますか?
いいえ。刑務所にいるだけで筋肉がつくわけではありません。
筋肉を大きくするには、筋肉への負荷、食事、休養、継続が必要です。運動をしなければ筋肉は増えにくく、環境や健康状態によっては体力が低下する可能性もあります。
プロテインを飲まなくても筋肉はつきますか?
食事から必要なタンパク質とエネルギーを摂取できていれば、プロテインパウダーを飲まなくても筋肉はつきます。
ただし、タンパク質そのものが不要なわけではありません。食事だけでは不足する人にとって、プロテインは便利な補助食品です。
腕立て伏せだけで胸の筋肉は大きくなりますか?
現在の筋力に対して十分な負荷があり、回数、セット数、動作範囲、種目の難易度を段階的に高めれば、大胸筋の筋肥大は期待できます。
通常の腕立て伏せが簡単になったら、足を高くする、停止時間を入れる、左右どちらかへ負荷を寄せるといった方法があります。
自重スクワットだけで脚は太くなりますか?
初心者であれば、自重スクワットでも脚や臀部に十分な刺激を与えられる可能性があります。
慣れて何十回もできるようになると負荷が不足しやすいため、ブルガリアンスクワットや片脚種目へ進むか、ダンベルやバーベルを取り入れる方法があります。
毎日自重トレーニングをしても大丈夫ですか?
鍛える部位、強度、セット数、疲労の程度によって異なります。
軽い運動なら毎日行える場合もありますが、同じ筋肉を強く追い込んでいるなら休養も必要です。関節の痛み、強い筋肉痛、睡眠不足、強い疲労がある日は無理をしないでください。
自重トレーニングでも筋肉痛がないと効いていませんか?
筋肉痛がなくても筋肥大は期待できます。
筋肉痛の強さだけで効果を判断せず、回数、難易度、フォーム、身体の変化を数週間から数カ月単位で確認しましょう。
詳しくは、以下の記事で解説しています。
筋肉痛がないと筋トレは効いてない?筋肥大との関係を海外研究から解説
プリズナートレーニングだけで十分ですか?
自重で筋力や筋肉量を増やしたい人には、有力な選択肢です。
ただし、最大筋力を伸ばしたい人、脚や背中へ大きな負荷をかけたい人、負荷を数値で細かく管理したい人には、バーベルやダンベルを組み合わせる方法が向いています。
まとめ|筋肉を作るのは場所ではなく、負荷の積み重ね
刑務所で筋肉質になる人がいるのは、刑務所そのものに特別な筋肥大効果があるからではありません。
限られた環境でも、腕立て伏せ、スクワット、懸垂などを繰り返し、難易度や回数を高め続ければ、筋肉と筋力を発達させることは可能です。
今回のポイントをまとめます。
- 刑務所にいるだけで筋肉がつくわけではない
- 自重トレーニングでも筋肥大は可能
- 回数、難易度、動作範囲などで負荷を高められる
- 高負荷での最大筋力向上はバーベルが有利
- プロテインパウダーは必須ではない
- 食事から摂るタンパク質とエネルギーは必要
- プリズナートレーニングの段階的な考え方には科学と合う部分がある
- 本のすべての主張が科学的に検証されているわけではない
- 意志は筋肉を直接作らないが、トレーニングを続ける力になる
筋肉を作るために、豪華なジムや高価な道具が絶対に必要なわけではありません。
私自身はバーベルを使い、さまざまなギアにもこだわっています。それでも、筋肉を作ってきた根本にあるのは道具ではなく、負荷をかけて継続してきた時間です。
刑務所という自由の限られた環境で身体を鍛える姿から学べるのは、危険な精神論ではありません。
今ある環境でできる運動を始め、休みながらでも負荷を積み重ねること。
それが、自重でもバーベルでも変わらない筋トレの基本だと思います。
参考文献・参考資料
- Kikuchi N, Nakazato K. Low-load bench press and push-up induce similar muscle hypertrophy and strength gain.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29541130/ - Kotarsky CJ, et al. Effect of Progressive Calisthenic Push-up Training on Muscle Strength and Thickness.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29466268/ - Schoenfeld BJ, et al. Strength and Hypertrophy Adaptations Between Low- vs. High-Load Resistance Training.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28834797/ - Morton RW, et al. Protein supplementation and resistance training-induced gains in muscle mass and strength.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28698222/ - Pérez-Moreno F, et al. Effectiveness of Prison-Based Exercise Training Programs: A Systematic Review.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31615971/ - Davies T, et al. Effect of Training Leading to Repetition Failure on Muscular Strength and Hypertrophy.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33497853/ - American College of Sports Medicine. Resistance Training Prescription for Muscle Function, Hypertrophy, and Physical Performance in Healthy Adults.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41843416/ - ポール・ウェイド著、山田雅久訳『プリズナートレーニング 圧倒的な強さを手に入れる究極の自重筋トレ』CCCメディアハウス、2017年。
