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停電が数時間で終わるなら、スマートフォンの充電を少し節約するだけでも乗り切れます。

しかし、電気が3日間戻らないとなると話は別です。スマートフォンだけでなく、Wi-Fiルーター、照明、ラジオ、季節によっては扇風機や電気毛布まで使えなくなります。

しかも、困るのは自宅のコンセントだけではありません。携帯電話の基地局や通信設備も電気を必要とするため、スマートフォンに充電が残っていても、電話やインターネットが使いにくくなる可能性があります。

そこで今回は、大規模停電が3日続くと仮定し、スマートフォン、通信手段、照明をどう守るか本気で考えました。過去の停電事例や公的資料をもとにした調査記事であり、筆者が実際に3日間の停電を経験した体験談ではありません。

先に結論

3日間の停電に備えるなら、最初に用意したいのは20,000mAh級のモバイルバッテリーです。ただし、家族分のスマートフォンや照明、Wi-Fiルーターまで維持したいなら、300~600Wh前後のポータブル電源も現実的な候補になります。通信障害に備え、乾電池式または手回し充電対応のラジオも別に持っておきたいところです。

大規模停電が3日続く可能性は現実にある

「3日間の停電」は、少し大げさな想定に見えるかもしれません。しかし、過去の災害を調べると、決して空想とはいえません。

2018年の北海道胆振東部地震では、地震発生後に北海道全域でブラックアウトが起き、最大約295万戸が停電しました。固定電話や携帯電話にも支障が生じ、電気と通信を同時に失う怖さが表面化しています。

2019年の房総半島台風でも、電柱の倒壊や断線が広い範囲で発生し、停電が長期化しました。災害の規模や設備の損傷状況によっては、「朝まで待てば復旧する」とは限りません。

内閣府は、飲料水や食品を最低3日分用意する例を示しています。南海トラフ巨大地震のように被害が広範囲に及ぶ災害では、1週間以上の備蓄が望ましいとの指摘もあります。

つまり3日分は、十分すぎる備えではなく、まず越えたい最初のラインです。電気についても同じように考える必要があります。

停電した直後に起きること

照明とコンセントが使えなくなる

まず困るのは、夜間の照明と充電です。スマートフォンに残量があっても、次に充電できる場所が分からなければ、気軽には使えません。

懐中電灯が1本あっても、部屋全体を照らす用途には使いにくいものです。移動用の懐中電灯と、室内用のLEDランタンは分けたほうが扱いやすくなります。

Wi-Fiはルーターだけ動かしても使えるとは限らない

ポータブル電源でWi-Fiルーターを動かせば、必ずインターネットが復活するわけではありません。

光回線では、一般にONUとWi-Fiルーターの両方へ給電する必要があります。さらに、自宅より上流にある通信設備が被災していれば、2台へ電気を供給しても通信できません。

ここは意外と見落としやすいところです。停電前に、自宅のインターネットで何台の機器へ電源が必要なのか、一度コンセント周辺を確認しておいたほうがよいでしょう。

Wi-Fiそのものの仕組みや不調時の確認方法は、Wi-Fiが遅い原因は?ルーター・端末・回線別の改善方法を解説でも紹介しています。

スマートフォンに電池があっても通信できないことがある

携帯電話の基地局には非常用電源を備えた設備もありますが、使える時間は設備や被災状況によって異なります。停電が長引けば、基地局側の電源が尽きたり、回線が混雑したりする可能性があります。

研究では、無線通信はスマートフォンの主要な電力消費要因の一つとされ、電波状態が悪い環境では消費電力が増えることも報告されています。圏外に近い場所で何度も再接続を試す使い方は、災害時には避けたいところです。

3日間で必要になる電気を考える

必要な電源容量は、スマートフォンを何台使うか、照明やルーターも動かすかで大きく変わります。

使いたい機器3日間の想定向いている電源
スマートフォン1台連絡と情報収集を中心に節電20,000mAh級モバイルバッテリー
スマートフォン2~3台家族で共有モバイルバッテリー複数台または300Wh級
スマホ+LED照明夜間に数時間使用300Wh級ポータブル電源
スマホ+ONU+ルーター通信設備が利用できる間だけ稼働300~600Wh級ポータブル電源
小型家電も使用扇風機や電気毛布など600Wh以上を用途別に検討

スマートフォン1台だけなら、最初から大型のポータブル電源を買う必要はないと思います。20,000mAh級のモバイルバッテリーを満充電で保管し、端末を節電して使うほうが、費用と持ち運びやすさのバランスは良好です。

一方で、家族のスマートフォン、LED照明、ラジオ、ネットワーク機器まで1台で支えたい場合、モバイルバッテリーだけでは窮屈です。この段階でポータブル電源が現実的になります。

モバイルバッテリーに書かれた20,000mAhを、そのままスマートフォンの充電回数で割ることはできません。電圧の変換や充電時の損失があるため、実際に取り出せる電力量は少なくなります。メーカーが示す対応機種別の充電回数も確認してください。

モバイルバッテリーの容量と充電回数の考え方は、モバイルバッテリーとは?容量・出力・充電回数の見方を初心者向けに解説で詳しく解説しています。

3日停電に備えて優先したい装備

1.20,000mAh級のモバイルバッテリー

最初に買うなら、20,000mAh級のモバイルバッテリーが現実的です。スマートフォン1台を守る目的なら、価格、容量、携帯性のバランスを取りやすいからです。

防災用では、最大出力の高さだけでなく、次の点を確認します。

  • USB-Cで本体を充電できる
  • 20,000mAh前後の容量がある
  • 残量を確認しやすい
  • 複数の端末へ給電できる
  • PSE表示と販売元を確認できる
  • 必要なケーブルを一緒に保管できる

広告候補は、Anker Zolo Power Bank(20000mAh・45W・USB-Cケーブル内蔵)です。メーカーは重さ約365gと案内しており、日常でも持ち運べる範囲に収まっています。

ケーブル内蔵は、防災用品として地味に助かります。ただし、本体を満充電にしていても、ケーブルや接続端子が合わなければ使えません。家族内でLightningとUSB-Cが混在している場合は、変換アダプターではなく、それぞれに対応するケーブルを用意したほうが確実です。

普段使いも含めた製品比較は、モバイルバッテリーおすすめ5選|容量・出力・重さ・USB-C対応を比較も参考にしてください。

2.300~600Wh級のポータブル電源

スマートフォン1台だけなら少し大げさですが、家族分の端末、照明、ルーターなどを支えるなら、ポータブル電源が候補になります。

製品候補容量定格出力向いている使い方
EcoFlow RIVER 3 Plus286Wh600Wスマホ、照明、通信機器を中心に使う
Jackery ポータブル電源 600 Plus632Wh800W家族分の端末や小型家電も考える

EcoFlow RIVER 3 Plusは、容量286Wh、定格出力600Wの比較的コンパクトなモデルです。メーカーは、3WのWi-Fiルーターを最大35時間動かせる目安を示しています。ただし、実際の稼働時間はルーターやONUの消費電力、変換損失、温度によって変わります。

Jackery ポータブル電源 600 Plusは、容量632Wh、定格出力800Wです。メーカーによるスマートフォンの充電目安は約24回で、家族で使う場合や、小型家電まで動かしたい場合はこちらのほうが余裕があります。その代わり、重さは約7.3kgあります。

自分なら、一人でスマートフォンと照明を守るなら286Wh級、家族分や季節家電まで考えるなら600Wh級を選びます。容量が大きいほど安心ではありますが、価格も重量も増えるため、必要な機器を決めずに1,000Wh以上を買う必要はありません。

3.乾電池・手回し充電対応の防災ラジオ

スマートフォンが使える間は、情報量の多さでスマートフォンが有利です。しかし、通信障害や電池切れまで考えると、ラジオは残しておきたい装備です。

北海道ブラックアウト後の調査でも、停電時にどのメディアが機能したかが検討されています。スマートフォンだけに依存せず、放送から情報を受け取れる手段を用意する意味はあります。

候補は、ソニーのICF-B300です。FM・AMラジオ、ライト、手回し充電、対応スマートフォンへの給電機能を備えています。スマートフォンを何度も満充電にするための機器ではありませんが、ラジオと照明を独立させる装備としては扱いやすい構成です。

4.LEDランタンと乾電池

スマートフォンのライトは便利ですが、部屋を照らすために長時間使うのはもったいありません。連絡手段の電池を、照明だけで消費することになるからです。

USB充電式のLEDランタンに加えて、乾電池式のライトも1台用意すると、電源を分散できます。使用する乾電池の種類を単3形か単4形へなるべく統一しておくと、管理もしやすくなります。

5.充電ケーブルと小型USB充電器

停電中は充電器が使えませんが、復旧した瞬間や避難所、車、給電設備のある施設で充電できる可能性があります。

そのときに備え、USB-Cケーブル、必要ならLightningケーブル、小型USB充電器を一緒に保管します。家族全員が同時に充電しようとすると時間がかかるため、複数ポート対応の充電器も便利です。

停電直後にスマートフォンで行う設定

  1. 家族へ短いメッセージで無事を伝える
  2. 低電力モードまたは省電力モードを有効にする
  3. 画面の明るさを下げる
  4. 動画視聴、ゲーム、自動更新を止める
  5. 必要な防災情報や地図を保存する
  6. 通信できない時間は機内モードを利用する
  7. 決まった時刻だけ通信を確認する

災害発生直後は家族へ何度も電話したくなりますが、通話が集中すると回線が混雑します。まずは短いメッセージで「無事・現在地・次に連絡する時刻」を伝えるほうが、電池と通信量を抑えやすくなります。

NTT東日本の災害用伝言ダイヤル「171」は、被災地への通話が集中してつながりにくくなった場合に提供される声の伝言板です。家族内で、どの電話番号を基準に伝言を残すか事前に決めておく必要があります。

スマートフォンを完全に使わないのではなく、使う時間を決めるのが現実的です。朝・昼・夜など確認時刻を決め、それ以外は画面と通信を休ませるほうが、情報を受け取りながら電池を残せます。

衛星コミュニケーターは必要なのか

携帯電話の基地局まで使えなくなる状況を考えると、衛星コミュニケーターは非常に強い装備です。Garmin inReachシリーズでは、携帯電話の電波が届かない場所でも衛星経由でメッセージの送受信やSOS要請ができます。

ただし、一般家庭の停電対策として最初に買う製品ではないと思います。本体価格に加えて衛星通信の契約が必要で、建物内や空が見えにくい場所では通信条件も悪くなります。

登山、航海、圏外地域での仕事など、普段から衛星通信を使う理由がある人には有力です。一方、自宅で3日間の停電に備える目的なら、モバイルバッテリー、ラジオ、LEDライト、ポータブル電源の順に揃えるほうが現実的です。

ソーラーパネルがあれば無限に充電できるのか

ソーラーパネルは長期停電で役立つ可能性がありますが、無条件で電気を作れるわけではありません。

  • 曇天や雨では発電量が落ちる
  • 窓ガラス越しでは効率が下がる
  • 一部に影がかかると出力が落ちる場合がある
  • 設置角度と時間帯で発電量が変わる
  • ポータブル電源側の入力上限も影響する

EcoFlowが示す目安では、RIVER 3 Plusを110Wのソーラーパネルで満充電にする場合、約3~4.5時間とされています。これは良好な条件での目安であり、天候や気温、設置状況によって長くなります。

3日間だけを想定するなら、最初から必要量を蓄えておくほうが単純です。1週間以上の停電や、電源の再補給が難しい場所まで考える段階でソーラーパネルを追加する、という順番でよいと思います。

3日停電に備えた現実的な組み合わせ

備え方構成向いている人
最低限20,000mAhモバイルバッテリー、LEDライト、ケーブル一人暮らし、スマホ優先
標準モバイルバッテリー、300Wh級電源、防災ラジオ、LEDランタンスマホと照明、通信機器を守りたい
家族向け600Wh級電源、モバイルバッテリー複数台、ラジオ、乾電池、照明複数人の端末や小型家電を使いたい
長期・圏外対策上記+ソーラーパネル、衛星コミュニケーター登山、遠隔地、長期孤立も想定する

自分なら、まず20,000mAh級のモバイルバッテリーと乾電池式の照明を用意します。そのうえで、家族分の端末やWi-Fiルーターまで動かしたいなら、300~600Wh級のポータブル電源を追加します。

ポータブル電源だけに全部を背負わせるより、モバイルバッテリー、乾電池、ラジオへ役割を分散したほうが、一つが故障したときにも困りにくくなります。

停電前に確認しておきたいこと

  • モバイルバッテリーの残量
  • ポータブル電源の充電状態
  • バッテリーの膨張や異常発熱がないか
  • スマートフォンに合うケーブルがあるか
  • ONUとWi-Fiルーターの消費電力
  • 家族間の連絡方法と集合場所
  • 災害用伝言ダイヤル171の使い方
  • 地域の避難所と給電場所
  • 乾電池の使用期限
  • ラジオの周波数と操作方法

防災用品は、買った時点ではまだ完成していません。箱から出して一度使い、家族も操作できる状態にして、ようやく備えになります。

モバイルバッテリーに膨張、変形、異臭、異常な発熱がある場合は使用しないでください。詳しくは、モバイルバッテリーが膨らんだらどうする?使用中止と処分方法を解説も確認してください。

まとめ

大規模停電が3日続く場合、最も守りたいのはスマートフォンそのものではなく、連絡と情報収集の手段です。

一人分なら、20,000mAh級のモバイルバッテリーとLEDライトが最初の候補です。家族分の端末、照明、ONU、Wi-Fiルーターまで使うなら、300~600Wh級のポータブル電源が現実的になります。

ただし、充電が残っていても通信網が使えるとは限りません。防災ラジオ、災害用伝言ダイヤル、事前に決めた集合場所など、電気を必要としない方法も残しておくべきです。

調べる前は「大容量のポータブル電源が一台あれば安心」と考えがちでした。しかし、実際には電源を分散し、スマートフォン以外からも情報を得られるようにするほうが強い備えになります。

参考資料