※本記事には広告・アフィリエイトリンクを掲載する場合があります。価格・仕様・対応機種は変更されることがあるため、購入前に販売ページとメーカー公式情報をご確認ください。

駅やカフェで見かけるイヤホンといえば、少し前までは完全ワイヤレスが当たり前でした。ところが最近、若い世代の耳元に白いコードが戻っています。SNSでは有線イヤホンを服の一部として見せる写真が増え、クロームや透明素材を使った製品まで登場しました。

一度は「昔のもの」になったはずの有線イヤホンが、なぜ今になって選ばれているのでしょうか。

調べてみると、理由は単なる懐かしさではありませんでした。充電しなくていい、接続が分かりやすい、比較的安く買える。そして、コードが見えること自体がファッションになる。有線イヤホンは、ワイヤレスに負けた古い道具ではなく、ワイヤレスとは違う便利さを持つ道具として戻ってきています。

先に結論

有線イヤホンは完全ワイヤレスに代わって主流へ戻ったわけではありません。ただし、海外の販売データでは長い減少から反転したことが確認できます。低価格、充電不要、接続の確実さ、遅延の少なさに、Y2K・レトロファッションの流れが重なり、「あえて選ぶもの」として再評価されています。

有線イヤホンは本当に復活しているのか

街やSNSで見かける回数だけでは、流行を証明できません。しかし、販売データにも小さくない変化が出ています。

市場調査会社Circanaによると、米国の有線ヘッドホン市場は5年続いた減少のあと、2025年に売上金額が前年比3%増へ転じました。伸びは後半に強まり、同年7月から12月は10%増、2026年最初の6週間は前年同期比20%増だったとしています。複数のブランドと価格帯に伸びが見られたことも報告されています。出典:Circana「Wired Headphones Growth Is a Throwback to 2016」

ただし、この数字は米国の小売追跡データであり、日本や世界全体の販売状況をそのまま表すものではありません。さらに同じCircanaの記事では、2025年のヘッドホン売上金額の65%を完全ワイヤレスが占めたとされています。

つまり、状況を正確に表すなら「有線がワイヤレスを倒した」ではなく、ワイヤレス中心の市場で、有線の売上が再び伸び始めたです。主役の交代というより、忘れられていた選択肢の復帰に近いでしょう。

確認できた変化数字の意味
2025年の米国有線ヘッドホン売上金額は3%増5年続いた減少からプラスへ転じた
2025年7〜12月は10%増年後半に伸びが強まった
2026年最初の6週間は20%増短期間の前年同期比較。通年成績ではない
完全ワイヤレスは2025年に売上金額の65%有線が伸びても、ワイヤレスが主流である状況は変わらない

なぜ若い世代に有線イヤホンが選ばれるのか

「若者に人気」と聞くと、全員が有線へ乗り換えているように見えます。しかし、年齢別の日本市場データまで確認できたわけではありません。ここでは販売データ、ファッション報道、現在の商品展開から見える理由を整理します。

理由1:白いコードまで含めてファッションになる

完全ワイヤレスは小さく、耳に入れると存在感が薄くなります。一方、有線イヤホンには耳からスマホへ伸びる線があります。以前なら邪魔だったコードが、今は一目で分かるアクセサリーとして働きます。

英紙The Guardianは2025年末、有線イヤホンを身に着ける著名人やInstagram上のスタイルを紹介し、白いコードがファッション表現になっていると報じました。記事では、ワイヤレスより目に見えやすく「話しかけないでほしい」という雰囲気を伝える側面も指摘されています。出典:The Guardian

レコード、コンパクトデジタルカメラ、昔風のスニーカーと同じように、少し不便だった道具が新鮮に見える。若い人にとっては懐かしいというより、自分が日常的に使ってこなかったデザインを新しく発見する感覚に近いかもしれません。

先に調べたXで話題になった謎のクロームイヤホンも、この流れを象徴する商品でした。音は画像から分からなくても、鏡のような銀色の本体だけで目が止まります。

理由2:充電という小さな仕事がなくなる

完全ワイヤレスイヤホンを使うには、本体とケースの電池残量を気にする必要があります。長時間使える製品でも、充電を忘れればその日は使えません。

有線イヤホンは、対応する端子へ挿せばスマホやPCから給電されます。ペアリングをやり直したり、左右どちらかだけ電池が減ったりする心配もありません。機能を減らした結果、使う前に考えることも減ります。

この違いは派手ではありません。しかし、毎日使う道具では「充電しなくていい」が意外に大きな価値になります。ワイヤレスを捨てるのではなく、充電を忘れた日の予備として有線をバッグに入れておく使い方も合理的です。

理由3:手頃な価格から試しやすい

Circanaの米国データでは、2025年の平均販売価格は有線が約13米ドル、Bluetooth製品が約99米ドルでした。カテゴリや機能が異なる製品を含む平均なので、同じ音質の製品同士を比較した価格ではありません。それでも、気軽に試せる価格帯の商品が多いことは復活を支える要素でしょう。

AppleのEarPods(USB-C)は、音量調整・再生操作・通話に使えるリモコンを備えています。USB-C対応のiPhone、iPad、MacについてOS条件も公式ページに記載されています。出典:Apple EarPods(USB-C)製品情報

理由4:挿す相手が決まっていれば接続が分かりやすい

有線イヤホンは基本的に、端子へ挿した機器の音を再生します。別のスマホへ勝手につながったり、ケースから出したのに認識しなかったりする場面がありません。

ただし、現在は3.5mm、Lightning、USB-Cが混在しています。USB-Cという形が同じでも、機器や製品によってマイク・音量ボタンなどの対応が異なる場合もあります。「有線なら何にでも挿せる」という昔の分かりやすさは、完全には残っていません。

オーディオテクニカのATH-CKD30CはDACを内蔵し、USB-C搭載のPC、Mac、Android端末、iPhone 15以降などへの対応を案内しています。一方で、リモコンは一部機種で正常に動作しない可能性も明記されています。購入前の対応確認が必要な理由です。出典:オーディオテクニカ ATH-CKD30C

ワイヤレスにはない有線イヤホンのメリット

比較項目有線イヤホン完全ワイヤレス
充電イヤホン自体の充電は不要本体とケースの充電が必要
接続対応端子へ挿して使うBluetoothのペアリングが必要
遅延一般に小さく、ゲームや演奏にも向く機器・コーデック・モードによって発生
紛失左右がコードでつながっている片側だけ紛失する可能性がある
動きやすさコードが服や物に引っ掛かることがあるコードがなく運動や家事で動きやすい
主な付加機能シンプルな製品が多いANC、外音取り込み、空間オーディオなどが豊富

ゲームや動画で音の遅れを抑えやすい

Bluetoothでは、音声を圧縮・送信・復号して再生する処理が入ります。現在のワイヤレス製品は動画側で補正したり、低遅延モードを備えたりしていますが、ゲームの操作音や楽器演奏ではわずかな遅れが気になることがあります。

有線接続もすべての機器で遅延が完全にゼロとは言い切れません。それでも無線伝送を使わない分、遅延を小さく安定させやすいのが利点です。オーディオテクニカもATH-CKD30Cについて、動画やゲームでタイムラグなく使えることを特徴として案内しています。

ロスレス再生の構成を作りやすい

有線にすれば、どんなイヤホンでも自動的に高音質になるわけではありません。イヤホン本体、DAC、音源、装着状態で聞こえ方は変わります。

一方、対応するDACと有線イヤホンを使えば、Bluetooth伝送を介さないロスレス再生の構成を作りやすくなります。ただし、人が差を聞き取れるかは別問題です。「有線=必ずワイヤレスよりいい音」と単純化するのではなく、音質を追求するときに選べる経路が増える、と考えるのが正確でしょう。

電池の寿命を考えなくていい

充電式電池は使用と時間の経過で劣化します。有線イヤホンには通常、イヤホン側の充電池がありません。コードやプラグ、左右の接続部分が壊れなければ、電池劣化を理由に買い替える必要はありません。

ただし、安い有線イヤホンが必ず長寿命とは限りません。細いコードを強く引っ張ったり、プラグの根元を折り曲げたまま収納したりすると断線します。電池の代わりにケーブルが弱点になる道具です。

有線イヤホンにも不便なところはある

復活した理由だけ並べると、有線の方がすべて優れているように見えます。しかし、ワイヤレスが主流になったのには明確な理由があります。

  • コードが絡まりやすい
  • 服、机、トレーニング器具などに引っ掛かる
  • スマホを離れた場所へ置けない
  • 歩行時にコードが服へ当たる音が伝わることがある
  • 端子の違う機器では変換アダプターが必要
  • ANCや外音取り込みを備えた低価格品は少ない

特に筋トレ、ランニング、料理、掃除では、コードのない快適さが大きな差になります。電車や飛行機でも、周囲の騒音を抑えるANCは完全ワイヤレスの強みです。

有線はワイヤレスの上位互換ではなく、得意な場面が違います。流行しているから一本に決めるより、外出はワイヤレス、PCやゲームは有線という使い分けの方が現実的です。

有線イヤホンが向いている人・ワイヤレスが向いている人

有線イヤホンが向いている人完全ワイヤレスが向いている人
充電する機器を増やしたくない移動中や運動中にコードを邪魔に感じる
手頃な予備イヤホンが欲しいANCや外音取り込みを重視する
ゲーム・動画・楽器で遅延を抑えたいスマホを置いたまま動きたい
白いコードやレトロな外観を楽しみたいケーブルの絡まりや接触音を避けたい
使用機器と端子が決まっている複数端末を無線で切り替えたい

今から選ぶなら、端子と装着方式を見る

有線イヤホンを買うときは、まずスマホの端子を確認します。iPhone 15以降や多くのAndroid端末ならUSB-C、古いiPhoneならLightning、イヤホンジャックが残っている機器なら3.5mmが候補です。

次に、耳栓のように密閉するカナル型か、耳へ軽く乗せるインナーイヤー型かを選びます。遮音性と低音を求めるならカナル型、耳の圧迫感が苦手ならインナーイヤー型が候補になります。装着感は音質にも影響するため、数字だけでは決められません。

USB-Cのカナル型では、ソニー IER-EX15Cも比較候補です。購入時には商品名の末尾まで確認し、3.5mm版のIER-EX15APなどと間違えないようにしましょう。

買う前のチェックポイント

端子が合うか、使う機種が対応しているか、マイクと音量ボタンが動くか、カナル型とインナーイヤー型のどちらか。この4点を先に確認すると、「挿さらない」「通話できない」「耳に合わない」を避けやすくなります。

よくある質問

有線イヤホンは本当に流行していますか?

米国では、2025年に有線ヘッドホンの売上金額が5年ぶりに増加へ転じ、2026年初頭も伸びたというデータがあります。ただし完全ワイヤレスは依然として主流で、日本の若者全体が有線へ移ったことを示す数字ではありません。

有線イヤホンはワイヤレスより音質がいいですか?

有線というだけで高音質になるわけではありません。イヤホン本体、DAC、音源、装着状態によって変わります。ただし、Bluetooth伝送を介さずにロスレス再生の構成を作りやすい利点があります。

USB-Cならどのスマホでも使えますか?

端子の形が合っていても、機種やイヤホンによって音声出力、マイク、音量操作の対応が異なる場合があります。メーカーの対応表や商品説明で、自分の機種を確認してください。

有線イヤホンは充電不要ですか?

一般的な有線イヤホンは、接続したスマホやPCから給電されるため、イヤホン自体を充電する必要はありません。ただし、ANCなどを備えた特殊な製品では電源が必要な場合があります。

有線とワイヤレスはどちらを選べばいいですか?

充電不要、価格、遅延の少なさを重視するなら有線、動きやすさ、ANC、外音取り込みを重視するならワイヤレスが向いています。用途に合わせて両方を使い分ける方法もあります。

まとめ:有線は「昔へ戻る」のではなく、選び直されている

有線イヤホンの復活は、技術が逆戻りした話ではありません。ワイヤレスが十分に普及したからこそ、充電不要、低価格、分かりやすい接続、目に見えるコードという違いが、もう一度新鮮に見えるようになりました。

販売データにも回復は表れていますが、完全ワイヤレスの優位は続いています。有線だけ、ワイヤレスだけと決める必要はありません。音楽を聴く場所や目的によって、便利な方を選べばいいのです。

何でも無線になる時代に、一本のコードがかえって個性になる。そこに実用性まで重なったことが、有線イヤホンが再び選ばれている一番の理由ではないでしょうか。

調査日:2026年9月12日。市場データは米国についてのものであり、日本市場やすべての若者の行動を示すものではありません。

Amazonで有線イヤホンを探す