※この記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。
本記事で紹介している商品・サービスは、実際に使用した経験や調査をもとに紹介しています。商品の価格や在庫、サービス内容は変更される場合がありますので、最新情報は各公式サイト・販売ページをご確認ください。
YAMAHA FG-180、いわゆる「赤ラベル」を実際に所有している。
筆者のFG-180は、ストロークすると生音が前へ飛び、部屋の中では「爆音」と表現したくなるほど音量が大きい。オール合板系の古い国産ギターでありながら、軽く弾いても反応し、強く弾けばさらに音が出てくる。
そこで、以前から一つの疑問があった。
FG-180は、新品だった1960年代後半から1970年代初頭にも、現在と同じようによく鳴っていたのだろうか。
それとも、新品当時は現在ほど鳴らず、50年以上の経年変化や長期間の使用によって、現在の音へ変わったのだろうか。
過去にネット掲示板でFG-180について「鳴っている」と書いたところ、「そもそも鳴っていない」と反論されたこともある。
しかし、ヴィンテージギターを購入した楽器店のベテラン店主からは、「あの頃の国産ギターは鳴りますね」と言われた経験がある。
この食い違いは、単に個体差だけの問題ではない。「鳴る」という言葉が、人によって違う意味で使われていることも関係しているはずだ。
この記事では、YAMAHAの公式資料、FG-180開発者の証言、当時を知るユーザーの回想、現在の所有者による評価、ギターの構造や木材の経年変化に関する資料を調査した。
最初に結論を述べると、FG-180は新品時から豊かな低音と伸びのある高音を狙って設計され、発売当時から音色を評価されていたことは確認できた。
一方、新品当時から現在のヴィンテージ個体と同じような“爆音”だったと断定できる資料は確認できなかった。
現在よく鳴る個体の音は、もともとの設計、個体差、長年の使用、経年変化、修理や調整状態など、複数の要因が重なった結果と考えるのが妥当だろう。
- この記事における「鳴る」の意味
- YAMAHA FG-180とは
- FG-180はなぜ合板で作られたのか
- 合板だから必ず鳴らないわけではない
- FG-180は新品当時から鳴るように設計されていた
- 当時の広告やカタログから音量は確認できるのか
- 新品当時を知るユーザーの証言はあるのか
- 現在のFG-180はどのように評価されているのか
- FG-180の構造が音量に影響した可能性
- 50年以上の経年変化で音が変わった可能性
- 現在の“爆音”は経年変化だけでは説明できない
- 個体差と現在のコンディションも大きい
- 筆者のFG-180を弾いて感じること
- 結論|FG-180は最初から鳴りを狙ったギターだが、現在と同じ爆音だったとは断定できない
- 主な参考資料
この記事における「鳴る」の意味
ギターについて話すとき、「鳴る」という言葉は非常に曖昧だ。
人によって、次のような要素をまとめて「鳴る」と表現している。
- 生音の音量が大きい
- 弱く弾いてもすぐ音になる
- ストロークした音が前へ飛ぶ
- 低音が豊かに出る
- 倍音が多い
- サステインが長い
- ボディ全体が振動する
- コードを弾いたときに音がまとまる
- 弾き手の身体へ振動が伝わる
音量が大きくても、音のバランスが悪ければ「鳴っていない」と感じる人もいる。
反対に、単純な音圧は大きくなくても、レスポンスが速く、倍音やサステインが豊かなら「よく鳴る」と評価されることもある。
本記事で筆者がFG-180を「爆音」と表現する場合は、主として、生音の音量が大きく、コードをストロークしたときに音が前へ出るという意味で使用する。
これは筆者が所有している個体を弾いた体感であり、すべてのFG-180に当てはまる評価ではない。
YAMAHA FG-180とは
FG-180は、1966年に発売されたYAMAHA初のフォークギターである。
YAMAHAの展示施設「イノベーションロード」では、FG-180をヤマハ初、そして国産初のフォークギターとして紹介している。
同資料によると、高い木工技術によって実現した音色が評判となり、国内外のプロミュージシャンにも使用されたという。
現在「赤ラベル」と呼ばれているのは、サウンドホール内に赤いラベルが貼られていた時期の個体だ。
YAMAHA公式資料では、1968年頃から1972年頃までのFG-180が赤ラベルと説明されている。FG-180自体は1966年に登場しているため、最初期の個体がすべて赤ラベルだったわけではない。
初期には淡い緑色のラベルが使われた個体も存在し、その後、赤ラベルへ移行したとされている。
FG-180の発売時期と当時の価格
FG-180は1966年に発売された。
当時の定価は1万8,000円と記録されている。
現在の感覚では安価に見えるが、1960年代の1万8,000円は、学生が気軽に買える金額ではなかった。
当時のFG-180は、現在の低価格帯アコースティックギターと同じ感覚の商品というより、アルバイトをしたり家族に買ってもらったりして手に入れる、本格的な国産フォークギターの一つだったと考えたほうがよい。
FG-180の主な材構成
赤ラベルFG-180の材構成は、一般に次のように記録されている。
| 部位 | 主な材 |
|---|---|
| 表板 | スプルース合板 |
| 側板 | マホガニー系合板 |
| 裏板 | マホガニー系合板 |
| ネック | マホガニー系材 |
| 指板 | ローズウッド |
| ブリッジ | ローズウッド |
製造時期や資料によって、裏板・側板の樹種表記には違いが見られる。
当時の公式カタログによる年式別の完全な仕様表までは今回確認できなかったため、すべての赤ラベルFG-180が完全に同じ材構成だったとは断定しない。
ただし、少なくとも一般的な赤ラベルFG-180が、表板を含めて合板を主体としたモデルだったことは広く確認されている。
FG-180はなぜ合板で作られたのか
合板とは、薄い木材を複数枚重ね、接着して一枚の板にした材料である。
単板よりも温度や湿度による変形に強く、割れにくい。材料を安定して確保しやすく、量産にも向いている。
1960年代に国産フォークギターを量産し、多くのユーザーへ届けるためには、合板は合理的な選択だったと考えられる。
YAMAHAは、FG-180の開発において耐久性を重視していた。
開発者の植田秀男氏は、完成した試作品を高湿度、乾燥、低温の環境へ何日も置き、変形しないか確認したと公式インタビューで語っている。
試験に合格しない仕様は商品化しない方針だったという。
つまり、FG-180の合板構造は、単に価格を下げるだけではなく、長期間使用できる安定した楽器を量産するという設計思想にも合っていたと考えられる。
50年以上経過した現在も演奏可能な個体が多数残っていることは、その耐久性を示す一つの結果だろう。
合板だから必ず鳴らないわけではない
アコースティックギターでは、「単板は音がよく、合板は音が悪い」と単純に説明されることがある。
しかし、実際の音は板材が単板か合板かだけで決まるものではない。
ギターの音には、次のような要素が関係している。
- 表板の重量と剛性
- 表板の厚さ
- ブレーシングの形状と重量
- ブレーシングの配置
- ボディの形状と容積
- ブリッジやブリッジプレートの重量
- ネックとボディの接合
- 塗装の種類と厚さ
- ナットやサドルの状態
- 弦の種類と劣化状態
- 製造時の個体差
- 修理や調整の状態
合板は接着層を含むため、一般的には同じ厚さの軽い単板より重く、振動損失も大きくなる可能性がある。
一方、合板であっても、適切な厚さと剛性に設計され、ボディやブレーシングとの組み合わせがよければ、十分な音量とレスポンスを得られる。
反対に、高価な単板を使用していても、表板やブレーシングが重すぎれば、反応の鈍いギターになる可能性がある。
単板か合板かは重要な要素の一つだが、それだけでギターの鳴りを判断することはできない。
FG-180は新品当時から鳴るように設計されていた
今回の疑問を考えるうえで、最も重要なのがFG-180開発者・植田秀男氏の証言である。
YAMAHA公式サイトには、植田氏と、2019年のFG Red Labelシリーズ開発に携わった江國真吾氏の対談が掲載されている。
植田氏は、FG-180でどのような音を目指したのかを聞かれ、低音が力強く出て、高音が甘く伸びる音を狙ったと説明している。
さらに、その音を実現するために、最終的には100本以上の試作品を作ったという。
これは非常に重要な情報だ。
FG-180は、安い材料を組み合わせて偶然よく鳴ったギターではない。
新品の設計段階から、低音の存在感と高音の伸びを明確な目標として開発されたギターだった。
YAMAHA公式の展示資料でも、FG-180は発売後に音色が評判となったと説明されている。
少なくとも、新品当時のFG-180が「まったく鳴らない安価な合板ギター」で、50年後に偶然現在の評価を得たという見方は、メーカー資料と整合しない。
当時の広告やカタログから音量は確認できるのか
YAMAHA公式の開発者インタビューには、1966年の発売当時に使用されたFG-180の広告画像が掲載されている。
また、YAMAHAはFG-180について、当時から音色が評判になったと記録している。
一方、今回確認できた公開資料の範囲では、「非常に大きな音量」「爆音」「同価格帯より圧倒的に大きな音」といった、現在の評価へ直接つながる広告表現は確認できなかった。
当時のカタログや広告は、製品の発売、外観、国産フォークギターとしての位置づけを確認する資料にはなる。
しかし、それだけで新品当時の生音の大きさを客観的に判断することは難しい。
当時のFG-180を新品状態で測定した音圧データや、現代の個体と同じ条件で比較した録音も確認できなかった。
したがって、新品当時から現在と同じような爆音だったと断定できる資料は確認できなかった、というのが現時点での結論である。
新品当時を知るユーザーの証言はあるのか
当時のユーザーによる回想は、断片的ながら残っている。
1967年頃にギターを弾いていたというユーザーの回想では、当時販売されていた廉価な12弦ギターについて、音量が不足しており、自分のFG-180に音量で負けていたと書かれている。
これは後年に書かれた個人の記憶であり、音圧を測定した記録ではない。個体の製造年や購入時期、新品で購入したかどうかも、公開された文章だけでは完全に確認できない。
そのため、客観的な証明としては扱えない。
しかし、当時を知る演奏者の記憶の中にも、FG-180を音量の出るギターとして捉えた例があることは分かる。
また、1972年に発表されたチューリップの「魔法の黄色い靴」のレコーディングでは、FG-180にピックアップを取り付けて使用したという関係者の回想も残っている。
これらの記録は、FG-180が発売から比較的早い段階で実際の演奏や録音に使用されていたことを示している。
ただし、演奏に使われた事実と、生音が現在と同じように大きかったことは別問題である。
現在のFG-180はどのように評価されているのか
現在のFG-180については、「音量が大きい」「低音が強い」「よく鳴る」と評価する所有者や楽器店が複数存在する。
実際、FG-180の音の大きさに驚いたという質問や、良好な個体には中低音の量感とコードバランスがあるという所有者の証言が残っている。
YAMAHA自身も、旧FGを愛用するユーザーやアーティストへの聞き取りから、FGの特徴として次の3点を挙げている。
- 独自の音
- YAMAHAと分かる外観
- 優れた耐久性
特に音については、FG-180の独自の低音を好む演奏者がいると説明している。
一方、すべてのFG-180がよく鳴るという評価で一致しているわけではない。
複数のFG-180を弾いた所有者からは、「確かによく鳴る個体はあるが、すべてではない」という慎重な意見も出ている。
筆者のFG-180はかなり音量が大きいと感じるが、この体感をモデル全体へ一般化することはできない。
50年以上経過したギターでは、製造時の個体差だけでなく、保管環境、使用頻度、修理履歴、現在の状態にも大きな差がある。
FG-180の構造が音量に影響した可能性
現在のFG-180に音量の大きい個体がある理由を考えるとき、合板か単板かだけでなく、ギター全体の構造を見る必要がある。
大きなウェスタンボディ
FG-180は、大きなウェスタンタイプのボディを採用している。
小ぶりなFG-150と比べてボディ内部の空気容積が大きく、特にストローク時の低音と音量を出しやすい形状である。
もちろん、ボディが大きければ必ずよく鳴るわけではない。
しかし、FG-180で狙われた豊かな低音と、ウェスタンボディの組み合わせは、音量感を生む重要な要素の一つと考えられる。
表板の厚さと剛性
アコースティックギターの表板は、弦の振動を音へ変換する中心的な部分である。
表板が厚く重すぎれば、弦の力に対して動きにくくなり、レスポンスが鈍くなる可能性がある。
反対に薄く軽く作れば振動しやすくなるが、弦の張力へ耐えられず変形する危険が増える。
合板には、単板より薄くしても割れにくく、安定性を保ちやすいという利点がある。
FG-180の実際の板厚には年式や個体による違いがある可能性があり、YAMAHA公式の数値資料は今回確認できなかった。
そのため、「FG-180は表板が何ミリだから鳴る」と断定することはできない。
ただし、合板の強度を利用し、振動しやすさと耐久性を両立させる設計が行われた可能性はある。
ブレーシングの設計
ブレーシングは、表板を支えながら振動の仕方を調整する内部構造である。
位置、角度、高さ、幅、削り方によって、表板の剛性、振動モード、低音、高音、音量、レスポンスが変わる。
YAMAHAは現行のFG Red Labelシリーズを開発する際、FG-180の低音と歯切れのよい高音を評価したうえで、ブレーシングを科学的に再設計している。
これは現行モデルの技術であり、1960年代のFG-180へそのまま当てはめることはできない。
しかし、メーカー自身がFGの音を再現・発展させるうえで、ブレーシングを重要な要素として扱っていることは分かる。
FG-180の音も、合板そのものだけではなく、ボディ形状やブレーシングを含む設計全体の結果と考えるべきだろう。
50年以上の経年変化で音が変わった可能性
ここが最も判断の難しい部分である。
木材は、長期間の経過によって物理的性質が変化する可能性がある。
木材の自然経年変化を調べた研究では、古い木材で吸湿性や振動減衰などに変化が見られることが報告されている。
YAMAHAも、温度、湿度、気圧を制御して木材の性質を変化させるA.R.E.技術を開発し、現行の上位アコースティックギターへ採用している。
この技術は、長期間を経た木材に近い変化を短期間で生じさせることを目的としている。
したがって、木材の経年変化が音へ影響する可能性そのものを否定する必要はない。
ただし、ここから「FG-180は50年経ったから必ず音がよくなった」と結論づけることはできない。
FG-180は合板である
FG-180の表板は、単一の木材ではなく、複数の薄板と接着層で構成されている。
単板を対象とした木材の経年研究を、合板のFG-180へそのまま当てはめることはできない。
木材だけでなく、接着剤、塗装、接合部、ブレーシングも長期間の影響を受ける。
それらが音へどの程度影響したのかを、現在の完成品から切り分けるのは困難である。
「乾燥したから鳴る」とは断定できない
ヴィンテージギターについて、「木が乾燥したから鳴る」と説明されることがある。
しかし、木材は周囲の湿度に応じて水分を吸収・放出する。50年間、一方向に乾き続けるわけではない。
過度な乾燥は、割れ、接着部の剥がれ、変形などを起こす可能性もある。
したがって、「古い木材は乾燥しているから必ず音がよい」という説明は正確ではない。
「弾き込めば木が育つ」とも断定できない
長期間弾かれたギターは、振動によって音が変わるという考え方もある。
演奏者の体感やメーカーの説明として語られることは多いが、同じギターを新品時から50年間、同一条件で測定したFG-180の資料は確認できなかった。
弾き込まれた個体は、同時に年数も経過し、弦、ナット、サドル、フレット、接着部、塗装なども変化している。
弾き込みだけの効果を取り出して証明することは難しい。
弾き込みが影響した可能性はあるが、それを唯一の原因とは断定できない。
現在の“爆音”は経年変化だけでは説明できない
FG-180が新品当時には鳴らず、50年以上の経年変化だけで現在の爆音になったと考えると、説明できない点が残る。
開発者は新品の段階から豊かな低音と伸びのある高音を目指していた。
100本以上の試作品を作り、環境試験を通過した仕様だけを商品化している。
YAMAHA公式資料でも、FG-180は発売後に音色が評判になったと記録されている。
これらを踏まえると、FG-180には新品時から一定の音量と音の存在感を出せる設計上の土台があったと考えるのが自然だ。
その土台へ、50年以上の経年変化、長期間の演奏、塗装や接着部の変化、修理、現在の調整状態が加わり、よく鳴る個体が現在残っているのではないだろうか。
これは資料から導いた仮説であり、実験によって証明された結論ではない。
個体差と現在のコンディションも大きい
ヴィンテージFG-180を評価するときは、年式やラベルだけでなく、現在のコンディションを確認する必要がある。
同じFG-180でも、次の条件が異なる。
- ネックの反り
- 元起きの有無
- 弦高
- サドルの残量
- ナットの状態
- フレットの摩耗
- ブリッジの浮き
- 表板の膨らみ
- ブレーシングの剥がれ
- ピックガードの収縮
- 過去の修理
- 使用している弦
- 保管されてきた湿度環境
弦高が極端に高い個体や、サドルがほとんど残っていない個体では、本来の演奏性やレスポンスを判断しにくい。
反対に、ナット、サドル、フレットなどが適切に調整された個体は、購入直後より明瞭に鳴るように感じることがある。
ヴィンテージギターでは、「年式が古いから鳴る」のではなく、設計、個体差、経年変化、現在の状態をまとめて評価する必要がある。
筆者のFG-180を弾いて感じること
筆者が所有している赤ラベルFG-180は、かなり音量が大きい。
特にコードをストロークしたとき、生音が前へ飛び、部屋の中ではほかのアコースティックギターより音圧を強く感じる。
オール合板系のギターに対して筆者が持っていた、「音が籠もりやすい」「反応が鈍い」という印象には当てはまらない。
だからこそ、長期間弾かれたことで現在の音になったのか、新品時から音量の大きいギターだったのか疑問に思った。
今回調べてみると、現在の音を経年変化だけで説明するのは不自然だと感じた。
FG-180は、もともと低音をしっかり出し、高音を甘く伸ばすことを目指して設計されたギターだった。
筆者の個体が現在「爆音」なのは、元の設計が持っていた性格を土台として、個体差や50年以上の変化が重なった結果なのかもしれない。
ただし、新品時の同じ個体を弾いた記録はない。
そのため、筆者のFG-180が50年前にどのような音だったのかは、最終的には分からない。
実際に約3年間所有して感じた音量や弾きやすさ、中古購入時の注意点は、YAMAHA FG-180赤ラベルを実際に弾いたレビューで詳しく紹介しています。
結論|FG-180は最初から鳴りを狙ったギターだが、現在と同じ爆音だったとは断定できない
今回の調査で確認できた事実は、次のとおりである。
- FG-180は1966年に発売された
- YAMAHA初、国産初のフォークギターとして公式に紹介されている
- 赤ラベルの時期は公式資料で1968年頃から1972年頃とされている
- 当時の定価は1万8,000円と記録されている
- 合板を主体とした構造だった
- 開発者は豊かな低音と甘く伸びる高音を目標としていた
- 100本以上の試作品が作られた
- 高湿度、乾燥、低温による耐久試験も行われた
- 発売当時から音色が評判になったとYAMAHAが記録している
- 現在も音量や低音を評価される個体が存在する
- 一方ですべてのFG-180が同じように鳴るわけではない
ここから考えられる最も慎重な結論は、次のようになる。
FG-180は、新品時から鳴りを重視して設計されたギターだった可能性が高い。
しかし、新品当時から、現在のよく鳴るヴィンテージ個体と同じような爆音だったと断定できる資料は確認できなかった。
50年以上の経年変化が音へ影響した可能性はある。
ただし、それだけで現在の鳴りを説明することもできない。
FG-180の音量と個性は、もともとの設計、合板の作り方、ボディサイズ、表板とブレーシング、製造時の個体差、長年の使用、保管環境、修理や調整状態が重なった結果と考えるのが妥当だろう。
「合板なのに鳴る」のではなく、合板を使いながら、狙った音と耐久性を成立させようとした設計が優れていたと見るほうが、FG-180の本質に近いのかもしれない。
筆者のFG-180が新品時にどのような音だったのかは分からない。
それでも、現在そのギターを弾くと、50年以上前に植田秀男氏たちが目指したという、豊かな低音と伸びのある高音の片鱗を確かに感じる。
主な参考資料
- YAMAHA「FG / FS Red Label」FG-180開発者・植田秀男氏インタビュー
- YAMAHAイノベーションロード展示コレクション「FG180」
- YAMAHA「アコースティックギター FG/FSシリーズ」ニュースリリース
- YAMAHA「木材改質技術 A.R.E.」
- TC楽器「YAMAHA 先駆者が創造するオリジナルギター」
- Effects of natural and artificial ageing on the physical and acoustic properties of wood
- Influence of thickness profile and bracing pattern in the radiation patterns of guitars
