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筆者は、1974年製のMartin D-28を約6年半所有しています。

東京・御茶ノ水の楽器店で、同年代のD-28を何本か実際に試奏し、その中から低音がどっしりと出る現在の個体を選びました。購入価格は、記憶では25万円前後です。

約6年半かなり弾いてきましたが、現在でも手放したいとは思っていません。

先に結論をまとめると、この1974年製D-28で特に気に入っているのは、低音がドンと出る個体ならではの音と、Martin D-28という定番モデルを実際に所有して弾ける満足感です。

ストロークでもアルペジオでも気持ちよく弾けて、特定のジャンルに限定されない万能なアコースティックギターだと感じています。

ただし、これは筆者が所有している一個体の感想です。同じ1974年製D-28でも、音、弾きやすさ、修理歴、パーツの状態は異なります。

この記事では、一般的なD-28の説明だけではなく、実際に複数個体を弾き比べ、約6年半所有してきた経験を中心に、音の魅力や故障、ヴィンテージD-28を購入するときの注意点を解説します。

1974年製Martin D-28を約6年半所有している

筆者がこのD-28を購入したのは、約6年半前です。

購入場所は、東京・御茶ノ水にある楽器店でした。中古の1974年製Martin D-28で、価格は25万円前後だったと記憶しています。

当時の1970年代D-28は、現在よりも比較的手の届きやすい価格でした。筆者が購入した個体については、新品のD-28と大きく変わらない価格帯だったという記憶があります。

1970年代のMartinをヴィンテージと呼ぶかどうかについては、人によって考え方が異なります。

筆者が購入した頃にも、「70年代のMartinはヴィンテージとは呼ばない」という考え方はありました。それでも筆者には古いギターへの憧れがあり、1974年製という年代にも魅力を感じて購入しました。

1974年製なら、2026年現在で製造から約52年が経過しています。呼び方は人それぞれでも、半世紀以上前に作られたギターであることは間違いありません。

なぜ1974年製Martin D-28を購入したのか

購入した大きな理由は、D-28がアコースティックギターのスタンダードだと思っていたからです。

さまざまなアコースティックギターを見たり弾いたりするなかで、一度はMartin D-28を自分で所有してみたいという気持ちがありました。

D-28は、スプルーストップとローズウッドのサイド・バックを組み合わせたMartinの代表的なドレッドノートです。

しかし、筆者にとって重要だったのは、カタログ上の仕様だけではありません。

「これがD-28なんだ」

「アコースティックギターのスタンダードと呼ばれてきたモデルを、自分でも所有して弾いてみたい」

その気持ちが購入の出発点でした。

さらに、当時は1970年代のD-28が比較的手の届きやすい価格帯だったことも、購入を後押ししました。

御茶ノ水で複数のD-28を試奏して選んだ

購入時には、同じくらいの年代のD-28を何本か試奏しました。

同じモデルで年代も近ければ、音も似ていると思う人がいるかもしれません。しかし、実際に弾き比べると、それぞれ印象が異なりました。

その中で現在所有している個体を選んだ大きな理由が、低音がドンと出る感じが良かったことです。

軽く鳴らしただけでも低音に存在感があり、音の土台がどっしりしているように感じました。

この音を聴いて、「この個体が欲しい」と思いました。

ヴィンテージギターは、同じモデル名や製造年だけで選べるものではありません。使われてきた環境、修理や調整の履歴、木材の個体差など、さまざまな要素が現在の状態に関係します。

筆者自身も「1974年製だから」という理由だけで購入したのではなく、複数の個体を実際に弾いたうえで、自分が一番好きだと感じた音を選びました。

実際に弾いて感じる音の特徴

筆者の1974年製D-28は、低音がかなりしっかり出ます。

言葉にするなら、

「低音がドンと出る」

「低音がどっしりしている」

という表現が、自分の感覚に最も近いです。

ただ音量が大きいだけではなく、コードを鳴らしたときに低音が土台を作り、その上に中音域と高音域が重なるような印象があります。

一方で、これはMartin D-28全体に共通する音だと断定できるものではありません。

筆者が所有する個体の感想であり、すべての1974年製D-28が同じように低音の強い音を出すとは限りません。

低音の強さは長所でもあり、好みが分かれる

筆者は、このD-28の低音が気に入っています。

しかし、実際に音を聴いた人から、次のような趣旨の意見を言われたこともあります。

「低音が出すぎていて、逆に音のバランスがあまり良くない」

筆者が長所だと感じている部分を、別の人は短所として捉えたわけです。

これは、ヴィンテージギターを選ぶうえで重要な経験でした。

よく鳴るギターが、誰にとっても良い音とは限りません。

低音が強い音を迫力があると感じる人もいれば、中高音とのバランスが悪いと感じる人もいます。乾いた音が好きな人もいれば、倍音の多い音を好む人もいます。

ヴィンテージギターでは、評判や年式だけでなく、自分が実際に弾いてどう感じるかが重要です。

ストロークもアルペジオも気持ちよく弾ける

低音が強い個体ですが、ストロークだけに向いているとは感じません。

コードストロークでは、ドレッドノートらしい音量と低音の力強さを楽しめます。強めに弾いたときにも音の土台が崩れにくく、弾き語りでも気持ちよく鳴らせます。

一方、アルペジオでも各弦の響きを楽しめます。

筆者としては、ストロークとアルペジオのどちらか一方に特化したギターではなく、どちらにも使いやすい万能なアコースティックギターという印象です。

特定のジャンルだけに使うというより、そのとき弾きたい曲を自然に弾ける存在になっています。

筆者の個体は弾きやすい

筆者が所有している個体は、弾きにくいとは感じません。

購入時点ですでに中古楽器として調整されており、現在も演奏上の大きな問題はありません。

ただし、「1974年製D-28はすべて弾きやすい」という意味ではありません。

製造から50年以上が経過したギターでは、ネックの状態、弦高、フレット、ナット、サドル、過去の修理内容によって弾きやすさが大きく変わります。

ヴィンテージギターの弾きやすさは、年代よりも現在の個体状態と調整を見たほうがよいでしょう。

長く所有するなかで、このD-28は筆者にとって、

「これがアコギのスタンダードなんだ」

「ここから始まったんだと感じられる」

ような存在になりました。

音だけでなく、D-28というモデルを実際に所有して弾くこと自体にも大きな満足感があります。

1974年製Martin D-28の主な仕様

1974年製のD-28について、同年個体を扱ったヴィンテージギター専門店の資料などを確認すると、主な仕様は次のように整理できます。

項目1974年製D-28の代表的な仕様
ボディ形状14フレットジョイントのドレッドノート
トップシトカスプルース
サイド・バックインディアンローズウッド
指板エボニー
ブリッジエボニー
ブレーシングノンスキャロップドXブレーシング
スケール25.4インチ
ナット幅1 11/16インチ(約42.9mm)
ネック補強非調整式のスクエアチューブ
ペグGrover Rotomatic
ピックガードブラック

カナダのヴィンテージギター専門店Folkway Musicが公開している1974年製D-28の資料でも、シトカスプルーストップ、インディアンローズウッドのサイド・バック、エボニー指板・ブリッジ、Grover Rotomatic、1 11/16インチのナット幅、25.4インチスケールが確認できます。

Martin公式FAQによると、標準生産におけるサイド・バック材は1969年にブラジリアンローズウッドからインディアンローズウッドへ移行しました。そのため、1974年製D-28のサイド・バックは、基本的にインディアンローズウッドです。

ただし、50年以上前の中古ギターでは、ペグ、ピックガード、ブリッジ、サドルなどが交換されている可能性があります。年式上の代表仕様と、目の前にある個体の現在の仕様は分けて確認する必要があります。

1974年製D-28のスクエアロッドとは

筆者が1974年製D-28に魅力を感じている理由の一つが、スクエアロッド仕様です。

ここでいうスクエアロッドとは、ネック内部に入れられた四角い断面のスチールチューブによる補強構造を指します。

リペア資料によると、Martinは1967年頃に、それまでのTバーからスクエア状のスチールチューブへ移行しました。Martin公式FAQでは、調整可能なワンウェイトラスロッドが導入されたのは1985年と案内されています。

そのため、1974年製D-28は、六角レンチでネックの反りを調整する現代的なアジャスタブルトラスロッドではなく、非調整式のスクエアチューブでネックを補強している時期の個体です。

筆者自身は、

「スクエアロッドも、このギターの鳴りに何か影響しているのではないか」

と感じています。

ただし、これはあくまで所有者としての感覚です。

スクエアロッド以外にも、トップ、ブレーシング、ブリッジプレート、ネック、個体の状態など、ギターの音に関係すると考えられる要素は数多くあります。

そのため、

「スクエアロッドだから音が良い」

「スクエアロッドだから低音が強い」

と断定することはできません。

また、非調整式であるため、ネックに問題が生じた場合は、レンチによる単純な調整では対応できないことがあります。中古で購入する際は、現在のネック状態をより慎重に確認したほうがよいでしょう。

6年半所有して経験したトラブル

約6年半所有してきて、大きなトラブルはほとんどありません。

購入後に経験した主な故障は、ペグの裏蓋が外れたことです。

そのため、故障したペグを交換しました。

故障したペグを同年代のものへ交換した

できるだけ年代を合わせたいと考え、同じ年代のペグを探して購入し、自分で交換しました。

古い年代のパーツだったこともあり、価格は高かったと記憶しています。

筆者の記憶ではGroverだったと思っていましたが、資料を確認すると、1974年製D-28にはGrover Rotomaticが使われていた個体が複数確認できます。

そのため、筆者の記憶とも一致しています。

ただし、1970年代のギターはすでにパーツ交換を受けている場合があり、すべての個体について外見だけでオリジナルと断定するのは危険です。正確に確認したい場合は、シリアルナンバーや取り付け穴、ペグの刻印などを専門店やリペアショップに見てもらう必要があります。

今回の経験から分かったのは、ヴィンテージギターでは木部だけでなく、古い金属パーツや機械部品が故障する可能性もあるということです。

同じ年代のパーツや外観の近い部品へ交換しようとすると、現行品より費用がかかることもあります。

オリジナル状態にこだわる人は、購入前にペグの交換歴と動作状態も確認したほうがよいでしょう。

Martinクラックとピックガード

筆者の個体は、購入した時点で、いわゆる「Martinクラック」が修理されていました。

ピックガードも交換済みです。

購入後約6年半では、同じ部分に大きな問題は起きていません。

Martinクラックはなぜ起きるのか

「Martinクラック」は正式なモデル名や修理名称ではなく、古いMartinで見られるピックガード周辺のトップクラックを指して使われることがある通称です。

古いMartinでは、ピックガードをスプルーストップの塗装前に貼り、その上から仕上げる方法が採られていた時期があります。

古いピックガードが経年変化で収縮すると、接着されたトップ材まで引っ張られます。その力によって、ピックガードの縁に沿ってトップへ亀裂が入ることがあります。

ギターリペアの専門資料を公開するFRETS.COMやStewMacでも、収縮したピックガードがトップ材を引っ張り、スプルースへクラックを生じさせる事例が紹介されています。

ただし、1970年代のD-28なら必ずクラックが発生するわけではありません。

保管環境、ピックガードの状態、過去の修理、木材の動きなどによって状態は異なります。

中古個体を見るときは、クラックの有無だけで判断するのではなく、

  • すでに修理されているか
  • 修理が適切に行われているか
  • ピックガードが交換されているか
  • 現在もピックガードが浮いたり収縮したりしていないか

まで確認することが大切です。

補修済みだから悪い個体とは限りません。筆者のD-28も購入時点で修理済みでしたが、その後約6年半、大きな問題なく弾けています。

一方、修理歴は中古価格やオリジナル性の評価へ影響することがあるため、購入前に内容を確認しておいたほうが安心です。

6年半弾いて音は変わったのか

ギターについては、

「弾き込むほど音が育つ」

「長く弾けば、さらに鳴るようになる」

と語られることがあります。

しかし、筆者がこのD-28を約6年半かなり弾いてきた正直な感想は、購入時から音が大きく変わったとは感じないというものです。

今でも、買ったときとほぼ同じ音だと思っています。

もちろん、弦の種類や新しさ、湿度、弾き方によって、その日の印象が変わることはあります。自分の耳や演奏方法が変化している可能性もあります。

それでも、長期間所有した経験を無理に「音が育った」という物語へ合わせるつもりはありません。

筆者の個体については、

6年半かなり弾いたが、自分では大きな音の変化を感じていない

というのが率直な結論です。

ヴィンテージD-28を買うときの注意点

筆者が最も重要だと考えているのは、次の2点です。

年代によって仕様が異なるため、購入前によく調べること。

可能なら、候補の個体を実際に試奏すること。

D-28は長期間作られてきたモデルで、製造年代によってローズウッドの種類、ネック補強、ブレーシング、ブリッジプレート、ナット幅、ペグなどが異なります。

同じ1970年代でも、製造年や個体によって現在の状態は同じではありません。

国産ヴィンテージギターの個体差については、YAMAHA FG-180赤ラベルを実際に弾いたレビューでも紹介しています。価格やブランドだけでなく、そのギターならではの音を選ぶという点はD-28にも共通しています。

ネック状態・弦高・サドルを確認する

古いアコースティックギターでは、長年にわたる弦の張力などにより、ネック角度が変化していることがあります。

弦高が高い個体でサドルがすでに低く削られている場合、サドル調整だけでは十分に弦高を下げられず、ネックリセットが必要になる可能性があります。

ネックリセットは、ネックを一度取り外して角度を修正する大きな修理です。

購入前には、次の点を確認したいところです。

  • ネックに大きな反りやねじれがないか
  • 12フレット付近の弦高
  • サドルに十分な高さが残っているか
  • ネックとボディの接合部
  • 過去にネックリセットを受けているか
  • フレットの減り
  • ハイポジションで音詰まりがないか

スクエアロッドはレンチで反りを調整できないため、判断が難しい場合はヴィンテージギターに詳しいリペア担当者へ確認してもらうほうが安全です。

クラックと過去の修理歴を確認する

トップ、サイド、バックにクラックがないか確認します。

修理済みのクラックがある場合は、修理箇所が安定しているか、内部から適切に補強されているかも重要です。

きれいに修理されたクラックが直ちに演奏上の問題になるとは限りません。一方で、未修理の亀裂、開いた接着部、雑な修理は、購入後の費用につながる可能性があります。

ピックガード周辺に加えて、ブリッジ周辺やボディの接合部も確認したほうがよいでしょう。

ブリッジ・サドル・イントネーションを確認する

ブリッジが浮いていないか、極端に削られていないか、サドルが低くなりすぎていないかを確認します。

1970年代D-28については、個体によってブリッジ位置やイントネーションが話題になることもあります。しかし、年代だけで一律に問題があるとは判断できません。

実際にチューナーを使い、開放弦だけでなく12フレット付近やコードを押さえた状態でも音程を確認するのが確実です。

筆者が所有する個体については、現在のところ演奏中に気になる大きな問題は感じていません。

交換されたパーツを確認する

ヴィンテージギターでは、次のパーツが交換されていることがあります。

  • ペグ
  • ピックガード
  • ナット
  • サドル
  • ブリッジ
  • フレット
  • ブリッジピン

交換されているから演奏用ギターとして劣るとは限りません。適切な修理や交換によって、弾きやすく安定した状態になっている個体もあります。

ただし、オリジナル性を重視する人や将来の売却価値も考える人は、どの部分が交換されているか確認しておく必要があります。

筆者の個体も、購入時点でピックガードが交換され、Martinクラックが修理されていました。購入後にはペグも交換しています。

最後は実際に音を聴いて選ぶ

仕様や修理歴の確認は重要ですが、最終的には実際に弾いた音と弾きやすさも大切です。

筆者は同年代のD-28を複数弾き比べ、低音が最も強く感じられた現在の個体を選びました。

その低音を「迫力がある」と感じるか、「出すぎている」と感じるかは人によって違います。

「1974年製だから買う」のではなく、その個体を自分が弾いて、本当に気に入るかを確認したほうが後悔しにくいでしょう。

1974年製D-28と現行D-28の主な違い

1974年製と2026年現在のD-28には、同じモデル名でも仕様に違いがあります。

項目1974年製の代表仕様2026年の現行D-28
トップシトカスプルーススプルース
サイド・バックインディアンローズウッドインディアンローズウッド
ブレーシングノンスキャロップドXブレーシングフォワードシフテッドGEスキャロップドXブレーシング
ネック補強非調整式スクエアチューブ調整可能なトラスロッド
ナット幅1 11/16インチ1 3/4インチ
ペグGrover Rotomaticニッケルのオープンギア
ピックガードブラックべっ甲柄
ネック当時のネック形状GE Modified Low Oval

現行D-28は、2025年にStandard Seriesが更新され、GEスキャロップド・フォワードシフテッドXブレーシングや新しいネック形状が採用されています。

そのため、1974年製と現行品は、単純に新旧だけで比べられるものではありません。

同じD-28という名前と、スプルーストップ、インディアンローズウッドのサイド・バックという基本的な組み合わせを共有しながらも、構造や弾き心地には違いがあります。

ヴィンテージと現行D-28はどちらが良い?

筆者は、ヴィンテージD-28のほうが現行D-28より優れているとは考えていません。

新品には、新品の良さがあります。

修理歴のない状態から使い始められる安心感や、調整可能なトラスロッド、現在の演奏性を意識したネック形状など、現行品ならではの魅力があります。

一方、古いD-28には、長年使われてきた外観、製造年代ごとの仕様、個体ごとに異なる音があります。

同じD-28でも、別の魅力を持つギターとして考えたほうが自然です。

もし現在所有している1974年製D-28を手放せば、新品D-28と交換できると言われても、筆者は1974年製を残します。

理由は、現行品より優れていると証明できるからではありません。

  • 約6年半所有してきた愛着がある
  • 低音がどっしり出る音を気に入っている
  • この個体でしか味わえない部分があると感じている
  • Martin D-28を実際に所有している満足感がある

こうした理由からです。

筆者は1968年製Gibson J-45も約6年間所有しています。低音がどっしりと出るD-28に対し、J-45にはジャキッとした輪郭と、枯れているのに元気のある鳴りを感じます。詳しくは「1968年製Gibson J-45を約6年間所有したレビュー」で紹介しています。

2026年現在の1970年代D-28中古相場

筆者が約6年半前に購入した価格は、記憶では25万円前後でした。

しかし、この価格を現在の相場として考えることはできません。

2026年8月に国内の楽器販売サイトで1970年代D-28の掲載価格を確認すると、約33万円、約35万円、44万円、46万2,000円、49万5,000円、50万円台などの個体が見つかります。

そのため、現在の国内店頭価格は、確認できた範囲ではおおむね30万円台前半から50万円前後が一つの目安です。

ただし、これは実際に売買が成立した価格ではなく、各店舗の掲載価格です。

同じ1970年代D-28でも、次の条件によって価格は大きく変わります。

  • 製造年
  • 全体の状態
  • クラックや補修歴
  • ネックリセットの有無
  • リフィニッシュの有無
  • ペグやピックガードなどの交換歴
  • オリジナルパーツの残存状況
  • 付属するケース
  • 店舗保証や調整内容

筆者が購入した約25万円という価格と比べると、現在は値上がりしている印象があります。

価格は常に変動するため、購入時には複数店舗の在庫を確認し、表示価格だけでなく、修理歴と現在の演奏状態まで比較してください。

1970年代D-28はどんな人におすすめ?

筆者は、1970年代D-28を「初めてのヴィンテージMartin」の候補にしてもよいと考えています。

製造から50年前後が経過しており、スクエアロッドや当時の仕様、長年使われてきた個体ごとの音を楽しめます。

戦前や1950~60年代のD-28と比べれば、比較的検討しやすい価格で見つかることもあります。

特に次のような人には、候補になるでしょう。

  • Martin D-28を一度所有してみたい人
  • 1970年代の仕様に魅力を感じる人
  • スクエアロッド期のD-28を探している人
  • 新品とは異なる個体ごとの音を楽しみたい人
  • 修理歴を含めて古い楽器と付き合える人
  • 複数個体を試奏して選べる人

一方、修理や部品交換の可能性を避けたい人、購入後の維持費をできるだけ抑えたい人には、現行品や比較的新しい中古品のほうが向くこともあります。

1970年代だから価値があると決めつけず、価格、状態、音、弾きやすさを総合して判断することが大切です。

一番気に入っているのは、この個体だけの低音と所有する満足感

筆者がこの1974年製D-28で一番気に入っているのは、低音がどっしりと出ることです。

その音をバランスが悪いと感じる人がいることも理解しています。それでも筆者にとっては、この低音こそが現在の個体を選んだ理由であり、長く所有してきた今も変わらない魅力です。

「この低音は、この個体だから味わえるものだと思っている」

という感覚があります。

そして、Martinというブランド、D-28というスタンダードモデルを実際に所有している満足感も大きいです。

高価だから良い、古いから良いということではありません。

実際に弾いたときに、

「これがD-28なんだ」

と思えること自体が、筆者にとって大きな魅力になっています。

まとめ:1974年製D-28は個体差も含めて付き合いたい一本

筆者は1974年製Martin D-28を約6年半所有し、現在も弾いています。

購入時には東京・御茶ノ水で同年代のD-28を複数試奏し、その中から低音がドンと出る現在の個体を選びました。

ストロークとアルペジオのどちらにも使いやすく、ジャンルを限定せずに弾ける万能なアコースティックギターだと感じています。

約6年半の所有中に経験した主な故障は、ペグの裏蓋が外れたことです。購入時点ではMartinクラックが修理され、ピックガードも交換されていました。

それ以外には大きな修理をしておらず、現在も問題なく演奏できています。

また、6年半かなり弾いてきましたが、筆者自身は購入時から音が大きく変わったとは感じていません。

ヴィンテージギターを選ぶときに重要なのは、年代や評判だけではありません。

  • 年代ごとの仕様を調べる
  • 修理歴と交換部品を確認する
  • ネック、弦高、サドル、クラックを見る
  • 可能なら複数個体を試奏する
  • 最後は自分が好きな音を選ぶ

こうした確認が必要です。

筆者の個体は低音の強さが魅力ですが、その音を好まない人もいます。

よく鳴るかどうかだけではなく、自分にとって弾き続けたい音かどうか。

そこまで含めて選ぶことが、ヴィンテージD-28と長く付き合うために大切だと感じています。

参考資料